キャピタル アセットマネジメント株式会社

ベトナム中小型株スキャンダルの影響について

情報提供資料

2022年4月13日

《最近のスキャンダルとその原因について》

最近、FLC会長の逮捕・起訴(相場操縦と情報隠蔽の容疑)と未上場企業タンホアミン会長らの逮捕(違法債券発行による詐欺)等のスキャンダルによって中小型株中心にベトナムの株式市場に混乱がみられます。

当社ではこれらの背景には少なくとも以下の2つの原因があると考えています。
1 一昨年来の国内個人投資家の新規参入により、物色の対象が拡大、値動きの良い中小型株への選好が高まり、時には突飛高となる銘柄が続出していたこと。そして相場操縦のし易い環境が醸成されてしまったこと。
2 昨年11月中央銀行(SBV)が発表した新ルールによって、不動産開発会社(デベロッパー)に対する資金調達への規制が強化(開発用地購入資金の調達制限)されたことによる影響。開発競争に伴う不動産デベロッパーの過大債務を懸念した政府によるこの規制は、中小や未上場のデベロッパーの資金繰りに影響を与えるとみられています。

《当社ファンドへの影響》

当社では、上記の状況に対し、運用上以下のような対応に努めてきました。
1 中小型の人気銘柄といえども流動性を重視(株価操作のしづらい時価総額が大きく、売買高の多いものに限る)し、業績の裏付けのない銘柄・バリュエーションの異常な銘柄には投資しない。 ポートフォリオ全体としても流動性の高い大型株をコアとして組入れており、一部銘柄の流動性リスクは極小化する。
2 不動産デベロッパーについては、新規制によって資金調達力のあるものが競争上有利となることが予想されることから大手銘柄を中心に組み入れる。

結果として、今回問題となったFLCも当社は投資しておりません。
タンホアミンの違法債券発行に関しては既発債券の発行取り消しであり、資金の回収の問題、発行に関与した金融機関の責任等が取りざたされていますが、当社の投資している銀行銘柄による同社債券への投資はなく、事務手続きのみの関与とされています。

《ベトナム株式市場への影響》

FLCに関しては、会長夫妻個人の問題とされており、FLCは同会長辞任後も通常の事業を継続しており、事態の悪化は避けられると見ています。タンホアミンについても事業規模からみて影響は限定的であると思われます。
これらのスキャンダルによって、中小不動産デベロッパーに対する当局の監視や投資家の目線が厳しくなることが懸念され、不動産デベロッパーへの投資はより選別的にならざるを得なくなりそうです。
さらに、過去2年間相場を大きく動かしてきた個人投資家の資金が、より流動性があり、割安感のある大型株や業績の裏付けのある中大型株へシフトする可能性もあります。それは当社が従来から構築してきた「リスクを抑えてベトナム経済の成長を買う」ためのポートフォリオと同一の志向であるといえます。大型株を多く反映したVN指数は今期EPSで23%の伸びが予想(ブルムバーグ;4/13現在)されており、予想PERも13.7倍と充分な投資妙味のある状況です。収益指標のROEを比べると、大型株の代表であるVN30指数のROEは19.6%、中型株を代表するVN70指数のそれは18.6%、小型株指数(VNSC指数)のそれは14.1%となっていて大型株は収益性が高いのが解ります。

今回のスキャンダルを機に、投機的な中小型に走り易かった国内個人投資家が大型株を見直すことによって、健全な市場環境が醸成されていくことを期待しています。

以上


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