キャピタル アセットマネジメント株式会社

ベトナム政府による物価・金利・経済回復への取組み

情報提供資料

2022年7月13日

米連邦準備制度理事会(FRB)は、6月14・15日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利(フェデラル・ファンド金利=FFレート)の0.75ポイント引き上げを決定した。これは1994年以降、30年近くの間で最も大きな利上げ幅である。 世界の物価が高騰しインフレ率が高まっている状況下、利上げは多くの国にとってその抑制策となっている。

出所: FRBサイト等をもとにCPVN作成

そこで、ベトナム政府と国家銀行の方針・動きにはどのようなものがあるのかを見てみよう。ベトナム政府は昨年第3四半期から「迅速なワクチン接種活動」を展開し、21年末から同国は新常態(ニューノーマル)に移行してきた。そして、2021年末から2022年頭にかけて社会経済の回復・発展プログラムを支援するため、財政・金融政策に関する国会の決議やその実施プログラムを優先的且つ積極的に展開している。さらに、労働者に対する緊急支援や家賃サポート、企業に対する税金・金利の減免や期限延長措置(付加価値税10%から8%へ、ジェット燃料・ガソリン・オイル等の環境保護税50〜70%削減、国産車・組立車登録時の登録料50%削減)等一連の対策が展開されている。金利に関しては、5月に政府は商業銀行から資本を借りる際に企業と協同組合、個人事業主が2%の金利の支援を受けられる政令第31/ND-CP号を公布した。同政令の適用対象は、コロナ禍の深刻な影響を受けた航空・輸送・倉庫や観光・宿泊、教育、農林漁業、製造・加工産業、ソフトウェア開発、情報サービス等の従事者である。一方、国内観光需要の促進や海外観光客の誘致等の政策により、サービス業は2.7ポイント近く伸び率が加速した。

写真の出所:政府電子サイトやベトナム観光総局サイト等をもとに

この金利優遇期間は2023年末までの2年間で、この金利補償支援パッケージの規模は40兆ドン(約2,320億円)である。さらに、ベトナム国家銀行は2022年-2023年に、農業・農村地域や輸出企業、中小企業、裾野産業、デジタル化産業等(高度な技術を導入・適用する企業)の優先分野に対する貸出金利を0.5%~1%削減するために、金融機関に対し、引き続き営業コストを削減することを要求した。7月7日に開催された金融業界の上半期の作業見直し・下半期のタスクオリエンテーション会議では、政府は予算収入を確保する対策を講ずると共に以下の主要な対策を出した。

出所:政府電子サイトや決議43号の決議11号等をもとにCPVN作成

国内外の専門家の間にはベトナムが世界的な物価の高騰やFRBの金利上げ・ドル高からの圧力を受け、年内に0.7%程度の金利を引き上げるという見方もある。一方、政府は多くの市民の利便性を高め、物流の安定に資するインフラ整備の重要性を認識しており、いまや国全体が協力して、交通インフラ開発を進めている。今後原材料・商品価格の急騰状況が続いても、インフラ整備等を通じて物価が安定化し、生産性の改善がすすめば、年内の利上げが見送られるとの期待もある。

以上


免責事項

当資料は、情報提供を目的として、キャピタル アセットマネジメント株式会社(CAM)が作成したもので、投資信託や個別銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。また、CAMが運営する投資信託に当銘柄を組み入れることを示唆・保証するものではありません。当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。