キャピタル アセットマネジメント株式会社

[ベトナム] 中国からベトナムへのグローバル企業の生産拠点移転

情報提供資料

2022年7月28日

世界のグローバル企業が中国からアセアン諸国やインドに生産拠点を移転する傾向は、チャイナ・プラスワン(China+1)として始まり、その後、米中貿易摩擦の激化や新型コロナ禍拡大によって加速してきた。経済が高成長を続けているうえ、政治が安定しており、外国投資誘致・インフラ整備など、経済社会発展策を積極的に進める新興国ベトナムは、多くのグローバル企業が中国から生産をシフトする移転先の一つとなっている。ベトナムが最も理想的な移転先であるという評価も見られる。
2018年以前からベトナムに進出する企業はあったが、2018年以降はより多くの企業が生産工場を中国からベトナムにシフトしている。最近も米国アップル社がiPadの生産を、中国以外の国としては初めてベトナムでも開始すると報じた。以下は現在ベトナムに生産拠点をもつ代表的なグローバル企業である。

出所:CPVN作成


1. サムスン
サムソンは、2019年中国にあった同社最後のスマートフォン工場を閉鎖した後、ベトナムのバクニン工場の折りたたみ式スマートフォン用パネルの生産を増強中である。
2008年から現在まで、サムスンはベトナムに約180億米ドルを投資している。サムスンのベトナム現地法人「サムスンベトナム」の総従業員数は11万人であり、同社の2021年の収益は742億米ドルに達した。同年のサムスンベトナムの輸出額は655億米ドル、ベトナムからの総輸出額の約20%を占めている。

出所:サムスン社資料をもとにCPVN作成

2. アップルはバクザン省とフート省にてiPadを製造へ
2019∼2020年にかけて、アップルは主要なビジネスパートナーにアップル社製品の一部の生産を中国から中国以外の国へ移転するよう要請した。 アップルの要請に応え、一部部品の生産活動をベトナムに移した企業にはLuxshareとGoerTekがあげられる。 また最近、2021∼2022年にフォックスコンとBYDもベトナムでiPad組立工場の建設を開始した。

出所:フート省とバクジャン省の工業団地管理委員会、CPVN作成

3. ナイキ(NIKE)
ナイキは1995年にベトナムでの生産を開始した。2021年度には、ナイキの靴製品のうち、ベトナム製が51%を占め、中国製のシェアは21%に低下した。同年度の衣料品生産においても、ベトナム、中国、カンボジアの契約工場はそれぞれ約30%、19%、12%を生産、現在はベトナムが主要生産地となっている。

出所:ナイキの年次報告、CPVN編集

過去2年間の新型コロナ禍においても、ナイキによる生産シフトは継続したのである。
ベトナムは、商業的なポテンシャルの高い新興経済国として、より多くの外国人投資家を引き付けるため、人材育成、生産性向上、インフラ整備などの改善努力を続けていることが、このような現象を招いていると考えられる。

以上


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