ワクチン接種件数の急速な増加を経て、ベトナム経済が多くのセクターで回復・成長を示している。海外からの旅行者の受け入れを全国的に解禁し、3月15日には、日本を含む13か国のビザ免除措置を再開した。以降、ベトナム観光産業の堅調な回復が見て取れる。
2022年1月、約2年ぶりに8か国・地域との国際線の定期便を再開した。3月中旬には、他国便も全面的に再開、その結果、ベトナムへの国際旅行者数は急速に増加し、1～6月までの期間で同国への国際旅行者数は41.3万人に達した。新型コロナ流行前（2019年）に比べると低い水準であるものの、前年同月比での伸び率は印象的である。

出所：ベトナム政府観光局

海外からの旅行者数増加に加えて、国内観光客の数も同様に増加した。2022年上半期の国内観光客の総数は6,080万人（前年同期比1.9倍、新型コロナ流行前の2019年の同期比で1.3倍の増加）に達している。国際航空運送協会（IATA）による「航空運送の世界的展望」という報告の中で、ベトナムは、2022年第1四半期に国内市場の回復が最も早い国のランキングの中で、第4位に位置付けられた。

出所：ベトナム政府観光局

新型コロナの流行、米中摩擦や近隣諸国での地政学的紛争など、多くの変動要因があるが、ベトナムの観光産業は力強い成長を遂げていく可能性を秘めている。5月に出された世界経済フォーラム（WEF）による「旅行および観光開発レポート」によると、2021年の「観光と観光開発指数（Travel and Tourism Development Index）」：旅行および観光セクターの発展に寄与する要素や政策を指数化したものにおいて、ベトナムはスコアを4.7ポイント伸ばし、国別ランキングにおいて前年の60位から順位を上げ、52位にランク付けされた。
今後の成長が期待できる観光産業の回復は、ベトナム国全体の経済成長に大きく寄与するものと思われる。