8月15日、特別買収目的会社(SPAC)であるブラック・スペード・アクイジション(Black Spade Acquisition Co)との14日付け合併完了を経て、ビンファスト(VinFast Auto Ltd.)がナスダック証券取引所(NASDAQ)に上場した。ビンファストはベトナムを代表するコングロマリットであるビングループのメンバー企業であり、電気自動車(EV)の製造販売で世界展開を進めている。ビンファストの普通株式と新株引受権証券(ワラント)は、それぞれ「VFS」、「VFSWW」の銘柄コードとなった。初日のナスダック・グローバル・セレクト・マーケットでの終値は37.06米ドルで、株式時価総額は850億米ドルとなり、ゼネラル・モーターズ(ＧＭ)やフォードの時価総額を超える水準に達した。
写真提供：ビンファスト、CPVN
7月28日にビンファストは、米国ノースカロライナ州チャタムにてEVおよびバッテリー工場の起工式を行った。これはノースカロライナ州初のEV工場であり、第1フェーズでは733haの用地に約20億米ドルが投資される予定。第1フェーズの生産能力は年間15万台で、2025年に稼働を開始する見込みである。同工場は数千人の雇用を創出し、ノースカロライナ州の経済成長に大きく貢献することが期待されている。
なお、ベトナム国内におけるビンファストの7月の新車販売台数は前月比-3.6％の3,042台であった。このうち、EV「VF 5 Plus」が同+64.2%の1,000台、「VF e34」が同+17.3%の1,181台、「VF 8」が同-62.6%の443台、「VF 9」が同+17.8%の418台だった。1～7月期の販売台数は1万4,680台で、うち「VF 5 Plus」が1,977台、「VF e34」が6,253台、「VF 8」が4,998台、「VF 9」が1,452台となっていた。
製品とサービス・インフラの側面では、ビンファストはベトナムで63の省と市をカバーする充電ネットワークの構築で強力な地位を確立、122のショールームを構え、今後も拡大していく計画である。
ビンファストのレ・ティ・トゥー・トゥイ社長は、次のように述べている。「米国の上場企業になることはビンファストの世界展開の歩みにおいて重要なマイルストーンです。当社のビジョンと信念、スマートで安全、環境に優しい電気自動車を多くの消費者が利用しやすいようにするという当社の取組みを示す証しでもあります。全ての困難に打ち克ち、環境にやさしい未来に向けて一緒に旅を続けてくれたブラック・スペード社とビンファストの関係者たちの素晴らしい協力に感謝します。私たちは、ビンファストの物語がベトナムのブランドにインスピレーションを与え、世界に進出する多くの機会が開くことを願っています。」
写真提供：ビンファスト、CPVN
