フィリピン人海外出稼ぎ労働者(OFW)が家族への送金を着実に増やしている。フィリピン中央銀行(BSP)によると、2023年7月のOFWを含む在外フィリピン人からの送金額(銀行経由)は、前年同月比+2.6%の約30億米ドルであった。これは2022年12月以来の高水準で、前年同月比でみても2022年7月以来プラスの状況が安定的に続いている。そして、1~7月累計の送金額は、前年同期比+2.9%の188億米ドルであった。1~7月累計送金額の国・地域別では米国からの送金が最も多く、前年同期比+2.8%、全体の41.3%を占める78億米ドルとなった。2位はシンガポールで同+2.6%の13億米ドル、3位はサウジアラビアで同+2.9%の11億米ドル、4位は日本(同+2.8%の9.4億米ドル)であった。
7月の送金に家族間の贈与などを含めた個人間移転は前月比+6.1%、前年同月比+2.5%の33億米ドルであった。1~7月の個人間移転は前年同期比+2.9%の209億米ドルであった。
リサール・コマーシャル・バンキング・コーポレーションのチーフエコノミストであるマイケル・リカフォート氏は、2023年7月の送金が増加したのは、1)新学期の開始に備えた一部の授業料支払いやその他の支出が増加したため、2)7月の対ドルでのペソ高によって米ドル換算額が嵩上げされたためであると説明した。今後数か月間、インフレ圧力が続く中、在外フィリピン人は同様のペースでフィリピンにいる家族を支え続ける可能性がある。特にホリデーシーズンには送金が加速する可能性もある。
なお、BSPでは、2023年の送金が前年比+3%の372億ドルと予想している。
海外送金受取(銀行経由)
出所:フィリピン中央銀行(BSP)