フィリピン統計庁(PSA)によれば、2023年第4四半期の国内総生産(GDP)実質成長率は前年同期比5.6%となった。これにより2023年通年のGDP成長率は5.6%となり、中国(5.2%)、ベトナム(5.1%)、マレーシア(3.8%)などの東南アジアの主要国を上回る成長率となった。エコノミストの予想中央値(5.2%)や国際通貨基金(IMF)による10月時点予想(5.32%)を上回った。労働市場の改善、海外出稼ぎ労働者からの送金増、インフレの鈍化が個人消費を支えたことなどが理由として挙げられている。
第4四半期の成長に貢献したのは、金融・保険で前年同期比11.8%増だった。商業(卸売/小売業/自動車・オートバイの販売・修理等)は同5.2%増、建設業は同8.5%増であった。2023年通年の成長に貢献したのは、商業(前年比成長率5.5%)、金融・保険(同8.9%)、建設業(同8.8%)等であった。
主要な経済部門では、農林水産業が第4四半期に前年同期比+1.4%、製造業等鉱工業が同+3.2%、サービス業が同+7.4%とそれぞれ成長した。需要側では、家計の消費支出が同5.3%増加した。政府の最終消費支出が同-1.8%、総固定資本形成が同+11.2%であった。なお、財・サービスの輸出が同-2.6%、輸入は同+2.9%であった。
2023年の経済成長は、フィリピン人の購買力向上のための環境づくり等に対する政府の取り組みに支えられたといえる。フィリピン政府は、経済成長を促進し、フィリピンが中長期的な目標を確実に達成できるように戦略を推進している。
同国政府は、2024年のGDP成長率について6.5~7.5%の目標を保持している。IMFでは、GDPの中期的成長率を約6~6.5%と予想、フィリピンはこの地域や世界で最も好調な国の一つとなると見通している。
出所:フィリピン統計庁(PSA)、フィリピン中央銀行(BSP)、開発予算調整委員会(DBCC)