キャピタル アセットマネジメント株式会社

ベトナム財務省・投資促進カンファレンス報告

情報提供資料

2024年3月19日

3月12日、ベトナム財務省主催の投資促進会議が東京で開催された。ホー・ドゥック・フォック財務大臣をはじめとする多くの政府機関のリーダーが、日本の投資ファンドや金融機関、ベトナム大手企業に向けて、ベトナムが外国人に対していかにオープンな市場であるかを謳った。
ホー・ドゥック・フォック財務大臣は、日本がベトナムへの最大の政府開発援助(ODA)供与国であり、208件のプロジェクトに230億米ドル以上の資金供与を約束してきたこと、また、毎年約8万人のベトナム人実習生や労働者が日本に派遣されており、現在日本でのベトナム人コミュニティは50万人以上と外国人コミュニティの中で2番目に大きいことを説明した。さらに、日本は投資と観光においても重要なパートナーであり、外国直接投資(FDI)プロジェクトが5,264件で約739.6億米ドルの総投資額となっている現在、ベトナムで活動する日本の企業は約3,000社に上っているとのことである。
そして、日本から毎年約60万人の観光客がベトナムを訪れ、2023年の貿易ではベトナムと日本の総輸出入額は449.5億米ドルに達した。格付け大手フィッチレーティングは、ベトナムの長期国債格付けをBBからBB+に引き上げ、展望を「安定的」に評価した(アジア太平洋地域において62か国中2か国のみ格付けが引き上げられた)。2023年末時点で、国の公的債務はGDPの約37%であり、国会が定める60%の制限に比べてかなり低い水準であること、などを強調した。
ベトナム財務省・投資促進カンファレンス報告

写真提供:キャピタル アセットマネジメント

証券市場に関して財務大臣は、市場発展のための解決策の積極的な実施、法的枠組みの完全化、証券市場におけるデジタル化の強化、関連省庁との協力による企業が直面する困難の克服、証券市場の安全性と透明性を確保するための監査と検査の強化、国際協力の強化と外国からの間接投資を引き付けるための解決策の実施など、ベトナムの証券市場をフロンティア市場から新興国市場へと昇格させる方針を表明した。
国家証券委員会の委員長であるブー・ティ・チャン・フオン氏は、証券市場の格付け向上に関する取り組みや、情報開示の徹底、相場操縦行為抑止のための取引ルール強化、上場企業の経営の質を向上させるための政策の強化について述べた。同氏は、透明性、公正性を促進し、国内企業と外国企業とを区別せず、すべての企業が共通のサポートポリシーを享受できるよう目指し、国際証券委員会機構(IOSCO)が策定した原則等の適用状況や外国人の株式保有比率と制限(FOL)の公表、市場監視におけるデジタル技術の導入などを行って、ベトナムの市場を国内外の投資家にとってより魅力的なものにする取り組みも行っていると述べた。ベトナムの株式市場時価総額は、国内総生産(GDP)の約100%に達したことがあったが(当社注:2021年11月下旬のブルームバーグによる取引所時価総額が、2020年の名目GDP 3,463億米ドルに対してほぼ100%であることを指していると思われる)、2024年2月末時点では約63%という計算となり、比率が下落した状況にある。この比率が持続的に100%を超えるよう努力していきたい。そして、2030年までにベトナムの証券市場の時価総額をGDPの120%に引き上げるという目標を掲げ、実現に向けて多くの企業の新規株式公開(IPO)や上場を促進し、証券市場への上場企業の過程を短縮するために不要な手続きを削減することが必要であると述べた。国有企業の株式の売却や株式公開を促し、市場への投資家の資金流入を促進していくという。外資の協力も必要となる。
当社キャピタル アセットマネジメント株式会社は、現在ベトナムは世界の主要金融センターと時差があると指摘した上で、ベトナムがアジアの次の金融センターになるための具体的な政策に関してどのような取り組みがあるかについて質問した。
これに対して財務大臣は、現在、財務省と政府がベトナムの3大都市であるホーチミン市、ダナン、首都ハノイにスマートな金融インフラを構築し、将来の需要に対応するために質の高い教育施設を整備している旨を回答した。
一昨年より噴出した不動産問題に絡み、不動産会社タン・ホアン・ミン社の債務問題や同業のバン・ティン・ファット(VTP)社の横領問題についての質問に対して、財務大臣は、タン・ホアン・ミン社が8.5兆ドン(約510億円)以上の債務を債券投資家に対して負っているが、政府が適時に対応し、同社の資産を売却して投資家に全額返済することができるであろうと述べた。また、VTPの問題については、政府が適切な資産を保持し、被害者に対する返済に向けた収入源を確保するべく対処していくと述べた。これらの対応は、政府の取り組みに対する投資家の信頼を高め、ベトナムの証券市場の発展をさらに促進するための非常に前向きな兆候であると指摘した。
*本文中のデータは、セミナー内での説明および提供された資料に基づく

以上

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