ベトナムがフランスの植民地支配下にあったのは1858年〜1954年の約96年間でした(ベトナムでの歴史教育に依れば)。 この間、ベトナム人がフランス文化を吸収する良い機会であった一方、植民地国家のベトナムにとって苦難の時代でもありました。しかし、負の側面を克服して、以下のようにフランス文化の優れた面はベトナムの人々によって現代に受け継がれています。
一つ目は建築におけるフランスの名残りです。当時を彷彿とさせるコロニアル調のフランス風建造物がベトナム各地に現存していて、特にホーチミン市は“東洋のパリ”とも称されています。当時の建物は、公共目的や企業関連、軍施設として活用されています。
残るフランス風建造物の代表例
ロングビエン橋
ソフィテル レジェンド メトロポール
迎賓館
クアバック教会
歴史的建造物が点在する一方で、ベトナムの急速な経済成長に伴い超高層ビルなど多くの近代的な建物が建設されています。例えば、ホーチミン市のランドマーク81(世界超高層ビルトップ20;ビングループ)、あるいはハノイのロッテセンターハノイ(ロッテグループ)や京南ハノイランドマークタワー(京南企業)などです。
ベトナムの近代建築物の代表例
京南ハノイランドマークタワー
ランドマーク81
ロッテセンターハノイ
二つ目は言語(ベトナム語)に対するフランス語の影響が挙げられます。
フランスの植民地化以前のチュノム文字
現在のチュ・クオック・グー
ベトナム語はインドシナ半島諸国の公用語の中で、唯一ラテン文字表記法のアルファベットを用いています。そのため、ベトナム人は外国語を比較的容易に習得できると言われています。
三つ目は、食文化の面でのフランス料理の影響です。ベトナムを訪れたとき、フランス人は国の好みの料理を持ち込みました。ベトナム人の創造性と創意工夫もあり、フランス食文化の影響を受けた料理が今も名物となっています。特に一般の人々に浸透したのは、バインミーやコーヒーです。
今日、フランス植民地時代の面影を残すフランス風建築やフランス由来の文化は、ベトナムの街や暮らしに溶け込んでいて、国内外の観光客にとって魅力的になっています。 古き時代の影響を色濃く反映しつつ、経済、文化、社会の面で近代化が急速に進んでいるベトナムは、独特の雰囲気を醸し出しているのです。
写真提供:CPVN
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