キャピタル アセットマネジメント株式会社

バイオ医薬セクター 4月中旬までの最近の動き

情報提供資料

2024年4月24日

■ 短期的なプラス要因
バイオ医薬セクターでは、①良好な臨床試験データ(ノボ・ノルディスクの経口・次世代型肥満薬候補が12週投与でプラセボ(偽薬)比12%の体重減少、ロイバントの候補品がぶどう膜炎に効果、イントラセルラーの候補品が大うつ病に対する評価項目を達成、イーライリリーの肥満症薬による睡眠時無呼吸症への有効性など)、②米国がん研究協会(AACR)の年次総会での発表(モデルナ、レボリューション、コージェントなど)、➂米国食品医薬品局(FDA)による認可(マドリガルの米国初の脂肪肝炎薬、ノボの肥満症薬による脳卒中と心臓発作低減への適応拡大など)、④M&A案件(アストラゼネカによる放射線医薬のフュージョン買収、バーテックスによる腎疾患領域のアルパイン・イミューン買収<同領域のベラ・セラピューティクスの株価も上昇>、ブリストル・マイヤーズによるカルナ・セラピューティクス買収の完了)、➄証券会社による格上げ等がプラス要因であった。

■ 短期的なマイナス要因
バイオ医薬セクター株式の代表指標であるNasdaq Biotechnology Index(NBI)は4月17日までの月初来(3月末比)で7.5%下落し、Nasdaq指数(同4.2%下落)をアンダーパフォームした。セクター固有のマイナス要因としては、①臨床試験の失敗(アミリクス <筋委縮性側索硬化症>、アカーディア<統合失調>、セージ<パーキンソン>ほか数社)、②ライバル会社の成功(上記2社による肥満症分野での秀逸なデータがライバル会社の株価に影響、肥満薬が普及すれば心血管、脂肪肝、睡眠時無呼吸症など様々な疾患のリスクを減らす可能性も意識された)、などであった。
他にも、次のような要因が影響したとみられる。
 ・新型コロナの収束に伴い、以前の日常に戻りつつあること。
 ・米国金利の低下見通しが後ずれしたこと(債券と比較して株式の割高感が意識される。金利・割引率の高止まりは将来キャッシュフローの現在価値を意味する理論株価の下落要因になる)。

ナスダック バイオテクノロジー指数の推移(2019/4/18~2024/4/17)

バイオ医薬セクター 4月中旬までの最近の動き

出所:ブルームバーグのデータを基にキャピタル アセットマネジメントが作成

■ バイオ医薬セクター株式の魅力は依然として大きい
しかしながら、バイオ医薬セクター株式の魅力は依然として大きいと考える。
バイオ医薬セクターの魅力は、以下のように整理されるであろう。
 ● イノベーションの加速がバイオ医薬の市場拡大を長期的にもたらすこと。すなわち、遺伝子治療や抗体薬物複合体などの「種別技術」、疾病メカニズム解明による「ターゲット探索技術」、最適な候補物質をスクリーニングする「最適化技術」(データ処理、薬物の体内動態、画像、論文検索、自動化などAI技術の活用を伴う)の革新が、バイオ医薬の発展をもたらす過程にあること。
 ● 高齢化や新興国の人口増と経済水準の高まりに伴う人々のニーズ(医療と健康増進)の高まりが継続すること、新たな基盤技術がそのニーズを満たしながら巨額市場を創出していくこと。
 ● 低分子医薬品に比べて製品寿命が長いこと(特許切れによるダメージが限定的)。
 ● 「特許の崖(薬の特許切れによる収益激減のこと)」を控えた大手企業側による(魅力的な新薬や技術プラットフォームを有する)企業や新薬への買収・獲得ニーズが根強いこと。
これらは、今後長期にわたって示現すると考えられる。
■ バイオ医薬セクターへの考え
バイオ医薬セクターにおいては、セクター固有の要因や株式市場の挙動によって、予期せぬ大きな変動に見舞われることがあるかもしれない。昨今では、新型コロナ関連から肥満症医療薬関連2社(イーライリリーとノボ・ノルディスク)への人気シフト、臨床試験結果による浮沈などが見受けられる。治療満足度が高まってきた薬効市場では、後続のバイオ新薬メーカーが(既存治療を上回って)成功するためのハードルが高くなっており、銘柄選別の重要性が増してきた、という側面もあろう。とはいえ、セクター全体では、病気を治療したい、健康増進したいという人々の欲求が続く限り、成功した企業が企業価値を膨らませ、セクターのパフォーマンスを長期的に牽引していくであろう。その長期的な魅力と有望性は揺らいでいないとみている。

以上


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