キャピタル アセットマネジメント株式会社

ベトナム貿易の見えてきた1兆米ドルと高付加価値化への転換

情報提供資料

2026年10月5日


 2026年1〜8月期のベトナムの商品輸出入総額は前年同期比28.7%増の7,701.4億米ドルに達し、同期間として過去最高を更新した。うち輸出額は3,748.4億米ドル(同22.4%増)、輸入額は3,953.0億米ドル(同35.3%増)となった。8月単月の貿易額が1,097億米ドルに達したことを踏まえると、通年の貿易規模は1兆米ドルの大台に達する可能性が現実味を帯びている。

 8か月間の実績を品目別に見ると、加工製造品グループが輸出総額の約90%を占めた一方、燃料・鉱業品グループは0.6%に縮小した。特筆すべきは、エレクトロニクス関連製品の輸出額が前年同期比51.1%増の1,010.6億米ドルに達し、輸出全体の伸び率を強く牽引した点である。また、機械・設備・工具の輸出額も同26.4%増の472.9億米ドルを記録した。これらの実績は、ベトナムの輸出牽引役が、より技術水準が高くサプライチェーンの結びつきが強い産業分野へと一段とシフトしていることを物語っている。

ベトナム貿易の見えてきた1兆米ドルと高付加価値化への転換

ベトナム貿易の見えてきた1兆米ドルと高付加価値化への転換

 輸入の品目を見ると、生産財(資本財・中間財)が輸入総額の94.1%を占め、そのうち機械・設備・工具・部品が57.6%、原材料・燃料が36.5%となった。一方、消費財の割合はわずか5.9%にとどまっている。商工省によると、エレクトロニクス関連の輸入額が68.3%増と大幅に拡大したほか、機械・設備・工具の輸入額も22.1%増を記録しており、生産拡大に伴う機器の設置などの設備投資に向けた需要と密接に連動している。

 ここから示唆されるのは、足元における輸入増が、主として生産能力の拡張や設備投資、さらには将来の輸出能力の増強に向けたものであるということである。
  サプライチェーンの観点から見ると、エレクトロニクス関連製品や機械の輸出拡大と、部品・設備の輸入増加が同時に進行していることは、ベトナムがグローバルな生産チェーンにおいてより付加価値の高い工程を引き込んでいることを物語っている。一方で、輸出額に占める海外からの直接投資(FDI)関連企業の割合は依然として約80%という高水準にあり、国内企業がサプライチェーンへの参画を強め、貢献度を高めるための課題が存在する。「2026〜2035年期支援産業発展プログラム」においては、国内生産能力の向上、現地調達率の引き上げ、そしてベトナム企業のグローバル・サプライチェーンへの参入を後押しすることを目標に掲げている。

  ベトナムの貿易の真価は、1兆米ドルという「量的拡大」にとどまらず、いかに国内の付加価値を高めるかにある。国内企業による高付加価値製品の生産能力を強化すれば、貿易の拡大は、グローバル・バリューチェーンにおけるベトナムの立ち位置を大きく引き上げる推進力となるであろう。

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