2026年5月時点において、株式市場の時価総額は約3,319億米ドルに達し、ホーチミン証券取引所(HoSE)の1日平均売買代金は約9.3億米ドルに上る。証券口座数は1,311万口座を突破し、総人口の13%超を占める。
MSCIによる18項目の評価基準に対し、ベトナムは現時点で10項目を充足しており、残る項目についても取り組みが進む。具体的には、ノンプレファンディング(取引代金の事前入金無しで発注できる)が安定的に運用されているほか、中央清算機関(CCP)の導入ロードマップが当初の想定通りに進捗しており、2027年第1四半期の運用開始が見込まれている。また、HoSEにおける外国人持ち株比率上限までの余裕があり、英語による情報開示は進展した。こうした積み重ねにより、MSCIの18項目の評価基準のうち17項目において充足水準に近づいている。2026年6月18日(米国現地時間)発表予定の審査サイクルにおいて、ベトナムがMSCIの格上げ候補ウォッチリストへ組み入れられる可能性は高いとみられる。
2030年のMSCI新興国指数採用に向け、政府は以下の重点課題に取り組んでいる。

(出所)各種資料に基づきCPVN作成
FTSEラッセルによる格上げ確定を受け、2026年9月以降に流入するパッシブ資金の規模について、ベトナムの金融保険グループ・PVIは約15億米ドル、ベトナム大手のSSIリサーチとFTSEラッセルによる共同レポートでは約17億米ドルという推計が示されている。さらに、FTSEラッセルは、アクティブ運用も含めた資金流入が最大60億米ドルに達すると見込んでいる。
シンガポールの国際投資家の間では、ベトナムが「安定した経済成長」「グローバル・サプライチェーンにおける存在感の高まり」「実効性を伴う改革への強い意志」という三つの条件を同時に満たしつつあるとの評価が広がっている。2025年9月に政府が正式に策定した市場格上げ計画において掲げられた「2030年までのMSCI新興国指数採用」という目標は、着実に現実味を帯びてきたといえそうである。