キャピタル アセットマネジメント株式会社

当社が求める人材とは?  ~ 創業オーナーとの対談から ~

当社の求める人物像

2023年9月21日に収録したものです。

山崎 今日は将来を見据えて、キャピタル アセットマネジメント株式会社(CAM)の求める人物像について、創業オーナーの筒井氏との対談形式で話を進めてまいります。

<導入~政府が進める資産運用立国への言及>

山崎 まずは、岸田総理から示された「資産運用立国」について、資産運用特区の創設など、具体化に向けた動きがあり、CAMにとっても重要な内容と思います。

筒井 最近、この話題は様々なニュースに取り上げられているとおり、特区の創設については、運用会社を海外から日本に招致していくことを容易にするための施策といえます。国内にある運用会社だけでは日本の資産運用ニーズに応えられないということを政府が考え始めているということだと思います。

山崎 確かに、日本の資産運用業界が長年抱えてきた課題に対して、外部からメスを入れて変えようとしているのでしょうが、見方を変えれば、外国の力を借りないと問題が解決できないといわれているのと同じですので、かなり寂しい話です。

<運用の外部委託の進展に対する自社運用へのこだわり>

筒井 おっしゃる通りで寂しい話です。日本人の金融資産の運用先としての投資信託の重要性が高まってきているなかで、ご承知のように我が国の運用会社が運用能力のある投資信託の投資対象は国内の株式、債券等に限られています。しかし、今や金融商品の対象は、海外株式・債券、ヘッジファンド、オールタナティブ・インベストメント等にまで広がっています。「私達日本人は」というと大きな話になりますが、少なくともCAMにおいては、様々な海外資産を運用できる日本人を早急に育成していかないといけないと痛感しています。

山崎 その点ですが、私が23年前に運用業界に入って以降、海外資産を自社で運用しない体制が徐々に広まっていったように感じます。日本人が日本で海外資産を運用することができないとは思わないのですが、自社で運用するよりも投資家にアピールできると考えたのか、海外の運用会社に一任する体制に変わっていきました。筒井オーナーは以前からそれを憂いておられましたね。

創業オーナー 筒井豊春氏

筒井 その通りです。数年前に日本の大手投信運用会社を訪問した時に、外国株式を運用するプロが育っていないということを知り愕然となりました。おそらく運用の全てをアメリカ、ヨーロッパの運用会社に丸投げしてきたからですね。これでは日本の運用会社の中で国際的に通用する人材が育つはずがなく、資産運用における世界の国際金融センターになれるわけもありません。日本には2100兆円を超える個人金融資産があるにもかかわらず、それを専門家としてしっかりと運用できる会社、ひいては人材を日本の中で育ててこなかったことは非常に残念なことです。
 それに対して、CAMは独立系の小規模な運用会社ですが、創業の2010年から国際分散投資を標榜して、まずベトナム株式ファンド運用を日本の本社から始めています。ハノイにそのための現地調査会社を設けています。その後のファンドも同様の哲学で日本本社から運用を行っています。そのために欧州や米国の経験のある運用会社から助言をいただいています。自社で調査・運用能力を持った人材の層をさらに厚くすることが課題と考えています。

山崎 20年以上前の話ですが、日本の運用会会社の中に外部委託運用部という部署ができ始めたのですね。もともとは自分たちで運用できる上場株式や流動性の高い債券以外の海外資産の運用を外部委託して、モニタリングをする部署であり、委託先の海外の運用会社と提携しながら、その運用ノウハウを学習、吸収して自分たちのものにしていこうという、そういう目的を持った部署だと私は理解していたのです。しかし、時間が経つにつれて、日本の運用会社ではそのような目的が忘れられてしまったのか、外部委託に対する解釈がだいぶ変わってきたような感じがします。つまり、運用会社においては、海外資産の運用は自社運用ではなく、外部委託することが当然で、すべてを一任で運用を任せることを資産運用業務と考えるようになってしまった。これが日本の運用会社の間違いではないかと思っています。

<CAMにおける自社運用>

筒井 自社運用という観点からCAMのファンドをみてみると、2014年に組成した「ベトナム成長株インカムファンド」は、今やCAMの代名詞ともいうべき存在になっていますが、当時より日本からベトナム市場に日本本社から投資することを貫いています。CAMにおける海外株式の自社運用は、このファンドが原点といってよいでしょう。
 山崎社長がCAMに入社されてから組成された新ファンドもその多くが外国株式を中心とした海外資産に投資するものでしたね。日本から世界の旅行関連企業に投資する「世界ツーリズム株式ファンド」、それから日本から国内外のファンド・オブ・ファンズに投資をする「オーケストラファンド」、そして直近では日本から世界のバイオテック企業の株式に投資する「世界バイオ医薬株式ファンド」を立ち上げていただき、いずれも大変成功を収めていることに感謝しています。
 これらの新ファンドは、いずれも国内外の運用会社の助言を受けていますが、運用会社との提携の内容は、助言を受けることを前提に、定期的な運用会社とのミーティング等を通じて運用手法や銘柄選択のノウハウを蓄積していく形を採用していると聞いています。このように、CAMの原点で、強みともなるのは、すべて日本本社から海外資産を運用するということです。今後ともCAMにはこのことを矜持として持ち続けてほしいと思います。このような取組みを地道に続けることで、日本の運用会社のファンドマネジメント能力を高めていくことになるはずです。この様な観点からも、CAMではファンドの自社運用哲学を継続していくことが重要だと思っています。

<運用のプロの不可欠の要素としての英語力>

山崎 先日、「世界ツーリズム株式ファンド」で助言を受けているスペインの運用会社GVC(GVC Gaesco Gestion)社のマーケティング責任者が来日しました。社員の誰かが通訳になることなくミーティングで議論を交わす。これが普通になっているのがCAMですね。

筒井 我々が今後期待する人材像は、やはり本当に世界で通用する運用のプロです。当然ながら英語は必須です。今の段階で得意じゃなくても、入社してから一生懸命勉強して、ゆくゆくは世界に通用する人材になりたいという方に是非ともCAMに参加してほしいと思っています。

山崎 そうですね。運用は専門的であるべきですし、当然ながら日本株のみならず海外資産を運用するわけですから、資産運用に関する最先端の理論や考え方を理解し、必要に応じて様々な情報を取り入れることが求められます。CAMではデリバティブを直接運用するファンドの組成はありませんが、デリバティブ理論を支える金融工学を理解するには数学の知識も必要です。これらのレポートや論文の多くは英語で作成されているため、語学、特に英語は必須です。
 これは運用の責任者としてのファンドマネージャーだけの話ではありません。運用本部には株式、債券、外部委託の各運用部のほかに調査部とトレーディング部があります。調査部ではベトナムをはじめとするアセアン諸国の経済や市況分析に関するレポートを作成していますが、必要に応じて、英語で書かれたレポートの内容を検討する場合があります。トレーディング部においても、海外株式や外国籍投信の売買の指図にあたり、現地ブローカーやカストディアンとのやりとりが発生するので、その場合は英語でのコミュニケーションが求められます。
 CAMには運用本部のほかに、マーケティング本部と管理企画本部があり、三本部制を採用していますが、マーケティング本部をとっても、当然ながら、「日本の投資家だけを相手にしているから日本語だけでいいだろう」とは考えず、両本部とも海外からのお客様の対応はしっかり行える体制が整備されています。

筒井 素晴らしいことです。最近、マーケティング本部に米国コロンビア大のMBA資格を持った方が入社されたようですが、国際的なセンスは絶対に必要です。海外のことをしっかりと話ができる人材でなければ、マーケティング本来の機能を果たすことはできないと私は思っています。今後とも、マーケティング本部の方々もできればバイリンガルで、そして海外情報をしっかりとお客さんに伝えられる、そういう人材で固めていって欲しいと思っております。

山崎 私もそう思います。運用会社として運用のレベルアップのためには、当然ながら、自分のアイディアを日本語や英語で伝え、そして相手の言っていることを理解することが不可欠です。日本人だけで会話すると日本における見方にとらわれることにもなりかねません。色々な考え方に触れることで、日本人では予想できないアイディアが浮かんでくる可能性がもっと増えるので、マーケティングであってもやっぱり国際的なセンスを持った人材が必要だということです。

山崎代表取締役社長

筒井 運用本部とマーケティング本部に話のフォーカスが当たる形となりましたが、管理企画本部のメンバーについても、間違いなく英語力が必要になると私は思います。

山崎 CAMの業務の中で、英語ができなくても大丈夫といえるものはほぼありません。管理企画本部にある部署のうち、商品業務部の業務は投信計理とディスクロに大別されますが、投信計理では、例えば受託銀行経由でベトナムや米国などの現地カストディアンとのやりとりが発生し、その際のコミュニケーションは英語で行います。ディスクロでも、ファンド・オブ・ファンズで組み入れているファンドの目論見書はその多くが英文で作成されているので、それを読みこなすことが求められます。もちろん、他の部署、たとえば、コンプライアンスや内部監査であっても、牽制される業務自体が英語でのコミュニケーションを前提にしている以上、ある程度は英語ができないと仕事にならないでしょう。国際的なセンスを持った人材の必要性は、CAMでは全社共通の課題です。

筒井 山崎社長には、今まで以上にCAMを国際的な視点をしっかり持ったチームに育ててほしいと考えています。

<独立系運用会社としてのCAM>

山崎 話は変わりますが、先日、とある証券会社主催で資産運用フェスティバルが開催されました。一日限りのイベントでしたが、全体で約2700名が来場し、盛況に終わりました。イベントに出展した運用会社の多くは外資系や大手日系で、CAMのような独立系運用会社はほとんどなかったです。
 ブースに来店されたお客様から「CAMはどういう会社ですか?」と質問され、独立系であることを説明したところ、「日本にも独立系の運用会社があるのですか?」との反応でした。まだまだ当社は知名度が低いですね(笑)。先ほどの国際的なセンスを持った人材の育成と並んで、CAM自体があまり知られていないというのも課題で、今後は知名度を高めるための施策を考え実行し、お客様からの信頼に応えられるようにしていきたいです。

筒井 日本の個人の投資家の方々がようやく世界に目が向き始めつつあると言っても、まだまだ外貨建て資産の比率は国内金融資産の中でも本当に数パーセント程度とごくわずかです。将来の生活設計のためにも海外資産の運用というのは絶対に欠かせませんから、そういった観点からも、CAMのような独立系運用会社がもっともっと成果を上げて、実績を上げていくことが、日本の国民の金融資産の形成にも非常に重要だと私は思っております。

<意欲と熱意>

山崎 CAMの話が続きましたが、筒井オーナーはCAM以外の会社を含めグループ全体を見ています。グループ会社のキャピタル・パートナーズ証券をとってみても、国際的センスを持った人材は当然必要で、グループ共通だと思いますが、このほかに、「意欲」や「熱意」もグループ共通といえるだろうと考えています。
 筒井オーナーがよくおっしゃるのが、「専門性に対する学習意欲」、「仕事が好きか」、「自分のゴールが何であるか」で、私の中では「意欲」と「熱意」に集約されると思っています。このあたりを少し突っ込んでお聞かせください。

筒井 私自身、外資系証券の草分けの一人として、自分がやりたい仕事をやってきました。好きでもない仕事を定年まで続けると、これほど不幸なことはないと思います。本当に自分がやりたい仕事なら全力投球することができますが、やりたくない仕事には意欲が湧きませんし、熱意も生まれるはずがありません。
正直に自分と向き合って、将来こういうことをやりたい、この分野で自分はプロフェッショナルになっていくのだという目標をしっかりと持つことが大切です。そういう目標をしっかり持っている方々にCAMに入社して、成長してほしいと願っています。
 日本にはまだまだ古い雇用慣行と言いますか、終身雇用制等が残っている一方で、転職も非常に盛んになってきています。こういう中にあって、自分が本当にどういう分野で成長して成功したいのかをしっかりとした目標を持ち、意欲と熱意を持っている方の応募を期待しています。

山崎 CAMの応募者に向けたアドバイスがあれば、お願いします。

筒井 CAMでは、ファンドマネージャーであれ、マーケターであれ、管理部門のスタッフであれ、自分が本当にやりたい仕事に全力投球でき、人間としても大きく成長できる環境を整えていく方針と聞いています。今CAMは小さな規模でありますが、全員が信念を持って正しいことをやっていけば、必ず立派な会社に発展していくと思います。私は外資系のモルガン・スタンレーやファースト・ボストンの出身ですが、元同僚の中から現在世界一の規模の運用会社に発展していったブラックロックという会社があります。ラリー・フィングというファースト・ボストン時代の同僚が立ち上げた会社です。目標を持って、しっかりやっていけばどんなことでも成し遂げられるということを表していると思います。
 今は小さくても夢を持ち、希望を持ち、そして実行していけば必ず大きな目標を達成できると私は考えています。そういう意欲と熱意のある人物にどんどん応募してほしいです。もちろん、20代や30代に限らず、40代、50代ひいては60代であっても、「意欲」と「熱意」さえあれば年齢は関係ありません。「意欲」と「熱意」を持つ方々と一緒になって手を携えて、成長していきたい。そういうふうに考えています。

山崎 全くその通りです。是非そのような方々に、積極的に応募して頂きたいと切望しています。最後に一言お願いします。

筒井 実は、弊社グループは無借金で誰に忖度する必要もありません。特に、CAMはメーカーのように大きな工場や機械のような設備投資をする必要はありません。CAMの資産は人材です。従って、大きな組織ではありませんが、人に投資して育てていきたいという気持ちにおいては、どんな会社にも負けないつもりです。

山崎 筒井オーナー、ありがとうございました。