経済部門別では、サービス業が前年同期比4.5%増を記録した。一方、農林水産業は0.2%減、鉱工業は0.1%減となった。個別業界では、商業(卸売/小売業/自動車・オートバイの販売・修理等)が4.6%増、行政・防衛・義務的社会保障が8.6%増、金融・保険が3.4%増となり、成長をけん引した。
一方、IT-BPM産業(ITを活用したビジネスプロセス管理・委託産業で、BPOといわれるアウトソーシングを含む)は2026年に輸出収入約420億米ドル、雇用約200万人と世界平均を上回る成長を続け、関連需要が商業不動産市場も下支えしている。今年6月時点の外貨準備高は1,048億米ドル(輸入の7か月分超)と安全水準を維持し、対外的な不均衡リスクを抑制している。このことが、政府が緊縮財政に急転換せず、公共投資拡大でインフラ再建を進める余地を生んでいる。為替面では、開発予算調整委員会(DBCC)が想定レートを1ドル=60〜62ペソへ下方修正(従来58〜60ペソ)した。緩やかなペソ安の容認は、IT-BPMにおける輸出やOFW送金の目減りを抑える効果もある。

(出所)フィリピン中央銀行(BSP)
DBCCは2026年の減速を経て、2027〜2030年に成長率が5〜6%へ回復すると予測。2028年以降インフレ率を2〜4%の目標圏内に戻し、財政赤字をGDP比5.4%(2026年)から3.5%(2030年)へ縮小する方針である。政府債務残高には注視が必要であるが、潤沢な外貨準備と主要産業の底堅さが、緩やかな回復シナリオを支える構図となっている。