ベトナム税関総局によると、2026年1~7月期の輸出入総額は前年同期比28.1%増の6,597.8億米ドルとなった。うち輸出額は3,197.3億米ドル(同21.7%増)、輸入額は3,400.5億米ドル(同34.8%増)であった。これにより、同期の累計貿易赤字は203.2億米ドルとなった(前年同期は103.5億米ドルの黒字)。
品目別にみると、輸出額が100億米ドルを超える5品目が輸出総額の62.8%を占めた。中でも電子機器・コンピューター・部品が851.7億米ドル(前年同期比50.1%増)と顕著な伸びを示したほか、機械・設備・工具・部品が401.5億米ドル(同24.6%増)、各種携帯電話・同部品が385億米ドル(同18.6%増)と、いずれも2桁台の高い成長率を記録した。一方、輸入は電子機器・コンピューター・部品(1,358億米ドル、同65.9%増)と機械・設備・工具・部品(410.7億米ドル、同22.7%増)の2品目のみで輸入総額の約52%を占めた。

輸入の中身を見ると、機械・部品・鉄鋼・化学品・プラスチック・繊維原材料などの生産財が輸入総額の約94%を占めており、企業の生産拡大・投資意欲の高まりを反映したものといえる。そして、中東紛争を背景とした燃料価格の上昇がエネルギー輸入額を押し上げた。商工省輸出入局では、貿易赤字は短期的にマクロ指標への圧力となり得るものの、輸入の大半が生産・投資向けであり、今後の輸出成長の基盤になるとの見方を示している。

(出所)フベトナム税関総局
一方、8月に入り赤字ペースには明確な減速が見受けられる。ベトナム税関総局によると、8月前半の貿易赤字は7月前半の36億米ドルから15億米ドルへと前月比で58.7%減少した。ベトナムに進出している韓国のサムスンや、台湾の鴻海グループなど外資系企業による輸出が同31.2%増でけん引役となり、輸出が前年同期比26.3%増と力強く伸びた一方で、部品・原材料の輸入増勢が一服したことが背景にある。コンピューター・電子機器の貿易赤字幅縮小、機械・設備の収支均衡、石炭・原油の貿易赤字縮小という3つの改善シグナルも確認されており、この流れが続けば年末にかけての貿易収支改善につながることが期待される。
2026年に入ると昨年までの状況とは一転し、ベトナムでは貿易赤字が続いている。為替や外貨準備への影響を懸念する指摘がなされることもあった。実際には、中東有事下でのエネルギーや原材料確保の前倒し、近未来の輸出増に備えた動きが輸入を押し上げた面もあり、必ずしもネガティブに捉える必要はないとみられる。また、海外からの直接投資(FDI)の旺盛さに伴う資金流入があるために、為替水準は比較的安定を保ってきた(対米ドルでの2026年現時点までの為替変動は約2.1%のレンジに収まっている)。貿易収支改善が確認されるようになれば、さらなる懸念の払拭に繋がると推測される。
年末に向けた輸出成長を支援するため、商工省は引き続き自由貿易協定(FTA)を効果的に活用し、貿易を促進していくとともに、企業と輸入業者や国際的な流通システムとを結びつける上で在外ベトナム商務部の役割を発揮していくことを表明した。また同省は、貿易詐欺や原産地偽装の取り締まりを強化し、取引額の大きい品目に対する原産地検証を推進するとともに、適切な運営措置を講じるべく、エネルギーおよび投入原材料の輸入動向を注視していく方針である。