キャピタル アセットマネジメント株式会社

国有企業改革とFDIによる新投資サイクル

情報提供資料

2026年9月16日


 ベトナムは2030年にかけて社会全体の投資額を大幅に引き上げ、10%以上の経済成長と1人当たり国内総生産(GDP)8,500米ドル水準への到達を目指している。この目標を達成させるため、海外からの直接投資(FDI)の誘致を強化するとともに、国有企業における資源の活用を推し進めていく必要がある。

 2025年末時点で、ベトナムには695社の国有企業が存在し(うち497社は政府が100%保有)、総資産は4,500兆ドンに達する。国有企業はこれまでも重要な役割を担ってきたが、国有企業の資本再編に係る分類基準を定めた首相決定第40/2026/QĐ-TTg号が2026年8月5日に発出され、投資家に投資機会を提供するとともに、戦略的投資家を招き入れることで国有企業の効率性や収益性の向上に中長期的に寄与することが期待される。また、6月8日付の外資系部門の発展に関する政治局決議第10-NQ/TW号は、人工知能(AI)などのハイテク分野を優先対象として、高品質かつ中長期のFDI資金に対する需要を喚起するものである。これらの施策を通じて、ベトナムは単なる製造業FDI案件の積み増しにとどまらず、「FDI+M&A(合併・買収)+国有企業の部分的民営化+バリューチェーンの高度化」という方向性に沿った新たな投資サイクルを展開していくと見られる。

国有企業改革とFDIによる新投資サイクル

(出所)ベトナム政府メディア

 第40号決定は、株式化(equitization)、資本の再編、あるいは国有資本持分の譲渡を通じて、市場に投資対象を供給するものと見られる。外国人投資家にとっては、特に注目に値する機会である。ゼロから事業を立ち上げるのではなく、既存の市場・許認可・インフラ・顧客ネットワーク・運営能力に即座にアクセスできるメリットがある。また、第10号決議では、コア技術、R&D、設計、データ、技術移転、人材育成、国産化、ESG(環境・社会・企業統治)といった分野へのFDI誘致を優先する方向性を打ち出している。労働集約型・土地集約型・エネルギー集約型かつ単純加工型の案件から、コア技術へと重点をシフトすることは、ベトナムが中所得国の罠に陥ることなく、掲げた目標どおり力強い二桁成長のステージへと移行するために不可欠なステップであると考えられる。

 この戦略的転換から恩恵を受けると見込まれる業種としては、電子・半導体、港湾インフラ・ロジスティクス、ビッグデータ・テクノロジー、グリーンエネルギー、金融・銀行などが挙げられる。

国有企業改革とFDIによる新投資サイクル

 ベトナムは、個別プロジェクト案件のFDI誘致よりも、FDIエコシステムの構築を目指している。すなわち、単純なFDI誘致という発想から、高品質かつ持続可能で、国内経済と深く結びついたFDIエコシステムを構築する戦略へと、大きく転換し始めている。

 当社では、ベトナムにおけるこうした政策転換がもたらす影響や効果を精緻に分析し、個別銘柄の選別に活かしながら、同国への注目を継続していく方針である。

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