ベトナム最大手の鉄鋼メーカーであるホアファットグループ(HPG)の2023 年第1四半期の売上は前年同期比39%減の26兆5,887億ドン(約1546億円)となった。税引後利益は同95%減の3,832億ドン(約22.3億円)であった。同期間のHPGの粗鋼生産量は前年同期比42%減少。熱延鋼板コイル等の販売量も同37%減少した。ベトナム不動産業界が資金難やプロジェクトの遅延に見舞われ悪化、建設資材市場全体にとって困難な時期であった。しかし、2022年後半に約3兆8,000億ドン(約221億円)の損失計上したことと比べれば、HPGのビジネス状況は黒字化、好転したことがわかる。
ホアファットの売上と純利益(四半期ベース)
出所:HPGの公開資料
2023年第2四半期、HPGは2号ズンクアット鉄鋼生産プロジェクトへの投資に経営資源を集中させ、市場の需要に応じてHai Duong省工場とQuang Ngai省工場での鉄鋼生産量を回復させる見込みである。3月の株主総会において、HPGのTran Dinh Long会長は、「鉄鋼業界は市場の需要に依存しており市場状況の予測は依然として困難」としつつも、「鉄鋼業界の最も困難な時期は過ぎ去った」と話した。
2023年後半、HPGの業績は下記の理由で更に回復するとベトナム・ハノイにある弊社グループ会社(CPVN)では予想している。
① 通年の700兆ドン(約4兆円)の政府による公共投資計画からの恩恵を受けること。第1四半期までの支出額が91.5兆ドン(約0.5兆円)で全体計画の13%にとどまっており、今後の支出増に期待できる。
② 政府には2023年から2030年までに約100万戸の公的住宅を建設し、そのうち約428,000戸を 25年までに完成させるという目標があり、それに伴う建設資材の需要も増える見通しである。Long会長も、不動産業界が徐々に回復し、鉄鋼需要が再び増加することを期待している。
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