ベトナムからの青果物の輸出額が記録的な水準と伸びを示している。同国税関総局によると、2023年上半期の青果物の輸出額は26.8億米ドルに達した。前年同期比で60.1%という伸び率は、2010年以降で最高水準である。
この要因として、①輸入側である諸外国にベトナムの青果物への需要があることに加え、②中国が新型コロナウイルスを抑え込む「ゼロコロナ政策」の解除後に経済・貿易活動を再開し、ドラゴンフルーツやマンゴー、ドリアン、ジャックフルーツ、ライチをはじめ青果物の輸入を急速に拡大していること、③自由貿易協定(地域的な包括的経済連携RCEP、環太平洋経済連携協定TPP11、ベトナム・韓国自由貿易協定VKFTA、日越経済連携協定VJEPA)を活用し、カナダやオーストラリア、日本、アセアン諸国等への青果物の輸出が促進されていることなどが挙げられる。
輸出先別にみると、輸出額第1位は中国17.6億米ドル(前年同期比2.22倍、全体に占める割合65.9%)、2位
は米国1.2億米ドル(同13.7%減、同4.4%)、3位は韓国1.1億米ドル(同12.3%増、同4.0%)、4位は日本8,730万米ドル(同4.9%増、同3.3%)、5位はオランダ7,837万米ドル(同66.8%増、同2.9%)だった。マレーシア、ドイツ、イギリス向け輸出もそれぞれ前年同期比23.9%、25.0%、28.3%増加している。
ベトナム政府が先進技術・国際基準の適用や、高収量かつ高品質の作物の栽培促進に重点を置いていることにより、果樹栽培面積や収量が過去5年間で大きく増えている。農業農村開発省が22年10月に承認した「2030年までの主要果樹開発プロジェクト」によれば、2030年までに果樹栽培面積130万ヘクタール(今年6月末時点122万ヘクタール)へ、収量は1600万トン(現在年間1300万トン)へ、輸出額は65億ドルに拡大させる目標が設定されている。ベトナムからの青果物の輸出額は今後も拡大を続けるであろう。