■社会安定と経済発展への期待
ベトナムは新しい国家主席と国会議長を発表した。両氏は職務を通じて多くの成果を上げ、多くの代表から信頼され、2026年まで国を率いる責任を託されている。
新国家主席に選出されたトー・ラム氏(67歳)は、北部のフンイエン省の出身である。ラム氏はグエン・フー・チョン書記長がトップを務める中央反腐敗・不正防止指導委員会の副委員長を務めている。同氏は腐敗防止に積極的に取り組んでおり、経済活動の透明性を高め、共産党を浄化してきた。その結果、国際非政府組織のトランスペアレンシー・インターナショナルが発表した腐敗認識指数から見るとベトナムのランキングは180か国・地域中、2016年の113位から2023年の83位へと透明性を向上させた。その実績により、同氏は国家主席に就任したといわれている。国家主席は元首として主に外交的な役割を担うものではあるが、ベトナムをより透明性のある社会へと変革し、経済発展を促すことが期待される。
国会議長に就任したチャン・タイン・マン氏(62歳)は、南部のハウザン省の出身で、経済学博士の学位を有する。マン氏は経営学を専攻し、経済学の研究生として学び、2009年11月に経済学博士号を取得した。マン氏は国内経済の発展、特に南部のカントー市の発展に多大な貢献をもたらしてきた実績もあり、国内の多くの経済政策を改革していくことが期待されている。特に、経済・社会の発展戦略、国防・安全保障の策定、法律の制定、法の執行の監視、および国の重要事項の決定において、党の方針、政策、決議を制度化すべく、指導力を発揮することが期待されている。
新たに選出された政治局員は経済、政治、社会に関する幅広い知識を持っているため、経済の発展により良いサポートを提供することが期待される。さらに、全国各地から選ばれた党員は、地域の政治的バランスをとり、その地域の経済的特徴を理解することで、経済的および社会的利益をもたらすであろう。新しい政治局員の中には、日本の大学で公共政策学の修士課程を修了後、日本に関連する業務に就いた経歴のある主要メンバーもいる。このことから、今回の人事は、日越の経済および文化面での関係強化にもつながるであろうと、当社では期待している。