フィリピン統計庁(PSA)によれば、2024年第3四半期の実質国内総生産(GDP)成長率は前年同期比5.2%となった。前期の6.4%を下回り、2023年第2四半期(4.3%)以来の低成長率となった。しかしながら、主要なアセアン諸国中で、フィリピンはベトナム(7.4%)とマレーシア(5.3%)に次いで、3番目に高いGDP成長率を記録しており、複数の台風上陸による一過性の影響を考慮すれば底堅い成長を持続していると見ることができよう。なお、他国のGDP成長率は、インドネシアが4.95%、シンガポールが4.1%であった。
第3四半期の主要産業別成長率では、製造業等鉱工業が前年同期比5.0%、サービス業が同6.3%とそれぞれ高成長を示したが、農林水産業は複数の台風通過の悪影響により同2.8%の減少となった。また、個別産業では建設業が同9.0%、金融業が同8.8%、商業(卸売/小売業/自動車・オートバイの販売・修理等)が同5.2%などと成長に貢献した。
需要側では、家計の最終消費支出が前年同期比5.1%増加した。さらに、政府の最終消費支出が同5.0%増、総固定資本形成が同13.1%増であった。
1~9月期の平均GDP成長率は5.8%となり、2024年通年のGDP成長率政府目標の下限である6%に到達するためには、第4四半期に6.5%以上の成長が必要になる。金利低下に伴う経済活動の活発化、物価の安定、台風被害からの復興需要が見込まれることから、同国の国家経済開発庁(NEDA)では今年の目標が達成可能であると引き続き楽観視している。
1~10月の平均インフレ率は3.3%で、政府目標である2〜4%の範囲に収まっている。今年これまでに、フィリピン中央銀行は主要な政策金利(翌日物借入金利)を年初の6.5%から6%まで合計0.5%引き下げている。さらに、同行のエリ・レモロナ総裁は、状況が良好であれば12月にさらに0.25%の利下げを検討する可能性があると説明している。
フィリピン統計庁(PSA)、フィリピン中央銀行(BSP)、開発予算調整委員会(DBCC)