■ブロックバスター(年商10億米ドル超の大型薬)候補に関するアップデート
本レポートでは、4月1日付けレポートで紹介したブロックバスター候補のアップデート情報をお伝えする。5月前半までの第1四半期(Q1)決算開示に際して、米食品医薬品局(FDA)による一部候補品の審査期限の延期が伝えられたものの、当社が注目してきた候補品に関しては概ねポジティブな進展が確認された。上市から日が浅い複数の新薬が好調な売上高を報告した。臨床試験中の開発品も順調に進展している模様である。
バイオ医薬業界では、遺伝子治療などに好意的でないプラサド氏の生物製剤評価研究センター(CBER)責任者への起用、海外製造拠点の抜き打ち査察拡大、トランプ米大統領による薬価引き下げ大統領令署名などのネガティブ要因が波状的に襲っており、今後も広告規制の導入などが懸念されている。しかしながら、ブロックバスター候補の進展という成長ストーリーは業界内で依然として健在だと当社では考えている。
■インスメッドの肺損傷向け吸入薬候補・Brensocatib(ブレンソカチブ)
FDAからプライオリティ・レビュー指定を受けているBrensocatib(非嚢胞性線維症性気管支拡張症)の審査終了目標は従来と変わらず、2025年8月12日であることが開示された。さらに、同候補品の慢性副鼻腔炎に対する効能追加に向けた臨床試験への患者登録の終了が2025年8月29日に予定されている。
■サイトキネティクスの肥大型心筋症治療薬候補・Aficamten(アフィカムテン)
FDAの審査終了目標日がリスク評価に時間を要するため3か月延期され、2025年12月26日とされた。
■ブリッジバイオ・ファーマのアミロイドーシス心筋症治療薬・Attruby(アトルビー)
Attrubyは米ファイザーの競合薬よりも有効性(死亡率低下など)がやや優れているとの臨床現場での評価があり、Q1売上実績(36.7百万米ドル)はコンセンサス(約12.7百万米ドル)を大幅に上回るサプライズをもたらした。同社が擁するもう1つのブロックバスター候補・Infigratinib(インフィグラチニブ、軟骨無形成症)も2026年前半にフェーズ3試験結果の開示、およびFDAに承認申請される予定であり、順調であるといえる。
■ブループリント・メディシンズの全身性肥満細胞症治療薬・Ayvakit(アイバキット)
2年前に上市したAyvakitの売上につき、2025年通年売上のガイダンスが上方修正された。修正後の売上予想は700~720百万米ドルである。2030年の売上予想(20億米ドル)に向けて順調といえる。
■タルサス・ファーマシューティカルズのデモデックスダニ感染による眼瞼炎治療薬・Xdemvy
XdemvyのQ1売上(78.3百万米ドル)はコンセンサス(約72.5百万米ドル)を上回った。M&A(企業の合併や買収)対象候補としても引き続き注目されよう。