ベトナム国家統計局によれば、2025年1~4月期の海外直接投資(FDI)認可額は138.2億米ドルに達し、前年同期比39.9%増加した。認可額の内訳としては追加投資や出資・株式取得が大幅に増加した。新規のFDI認可額は55.9億米ドルで、そのうち製造業は33.9億米ドル(新規認可額の約6割を占める)であった。
2025年1~4月期のFDI実施額は約67.4億米ドルと推定されている。これは前年同期比7.3%増であり、過去6年間で最高となった。これを業種別に捉えると、加工・製造業における実施額が約55億米ドル(全体の8割強)となり、集中していた。次いで不動産業が約5.3億米ドル、電力・ガス生産・供給分野が約2.7億米ドルなどとなっている。
出所:ベトナム国家統計局(NSO)
米国の貿易政策の不確実さにもかかわらずベトナムへのFDIは成長軌道を維持している。インフラ整備や優遇政策を通じて、ベトナム政府が外国からの投資を積極的に誘致していることがその背景だといえる。外国の投資家側にもベトナムのビジネス環境と成長力への信頼があり、米国との相互関税問題を悪くない方向で解決に導くことに対するベトナム政府への期待があることも考えられる。
FDI誘致を地域別に捉えると、ベトナム北部で韓国サムスンの工場があるバクニン省がFDI新規認可額約6.2億米ドル(構成比11.1%)で首位に躍り出た。第2位は港湾都市であるハイフォン市(5.87億米ドル)であった。従来上位に位置していたホーチミン市は第5位に後退した。この動きは、工業団地のインフラが整備され、ハイテク資本の受け入れ能力を備えた地域が好まれている傾向を反映している。