ベトナムは2050年までに温室効果ガスの排出量実質ゼロ(ネットゼロ)を目指すことを2021年に表明したが、その早期達成に向け、ガソリン車から電動車への転換を推進している。ハノイ市とホーチミン市では、その転換のための具体的なロードマップが策定されている。
ベトナム政府はガソリンバイク規制により、電動車へのシフトを加速させる方針を示した。2026年7月からハノイ市中心部でのガソリンバイク走行を禁止、2030年までに規制区域を段階的に広げる方針である。ホーチミン市でも配達・ライドシェア用のバイクを2029年末までに全面的に電気自動車(EV)化させる。
なお、上記のロードマップはあくまで予定であり、変更される可能性がある。
これらのロードマップは、二大都市における深刻な環境汚染の改善に向けた重要な政策転換であり、同時にネットゼロ目標の早期達成にもつながる。しかし、このプロセスには多くの課題が存在し、対応が求められている。ハノイ市人民委員会は2025年7月14日付決定第3763/QĐ-UBND号を公布し、電気自動車を活用したグリーン交通手段への転換や充電インフラの整備を推進するため、市に助言する合同作業部会を設立した。下表の通り、ベトナム政府はこれらの課題を把握し、解決に向けた対応策を提示している。
出所:政府および市の電子メディア情報に基づきCPVN編集
なお、2024年末時点で、ベトナムに登録されているバイクは7,700万台を超え、人口当たりのバイク普及率は世界最高水準といわれている。そのうち、ハノイ市とホーチミン市で全体の23.6%を占める。両市における自動車およびバイクに関する2024年末時点の状況をまとめると下表の通りである。
出所:ハノイ市人民委員会、ホーチミン市建設局の2024年末時点データに基づきCPVN編集