2025年1~7月累計のフィリピン人海外出稼ぎ労働者(OFW)を含む在外フィリピン人からの送金額(銀行経由)は、前年同期比+3.1%の約199.3億米ドルであった。このうち、海上労働者からの送金額は同+3.1%の39.6億米ドルと小さくないが、世界的なクルーズ船運航に支えられた海運部門の堅調な需要を反映している。国・地域別では、米国からの送金が最も多く、前年同期比+1.0%、全体の40.3%を占める約80.3億米ドルであった。シンガポールとサウジアラビアがそれに続き、日本(同+3.4%の約9.9億米ドル)は4位であった。OFW送金は、フィリピン国にとって重要な経済的基盤であるだけでなく、消費を活発化させ、地元企業の支援、雇用創出や地域経済の発展にも寄与している。なお、日本には7万人以上のフィリピン人が就労していると言われている。
フィリピン政府は持続的で質の高い雇用創出を目指し、人材開発に取り組んでいる。例えば、2028年までに100万人のデジタル人材の雇用を創出することを目指し、官民連携による技術開発計画を進めている。国を挙げてのこのような取り組みが建設業、製造業、医療分野、IT分野などにおいて海外で就労する人材の供給に結びついているといえるだろう。
ユニオンバンク・オブ・ザ・フィリピンのチーフエコノミストであるアスンシオン氏は、ホリデーシーズンの季節的な要因などに支えられて、今後数か月間は送金の伸びが持続するだろうとの見解を表明した。フィリピン中央銀行(BSP)では、2025年通年の送金額について前年比+2.8%の355億米ドルと予想している。
出所:フィリピン中央銀行