インドネシアの中央統計局(BPS)報告によれば、2025年第3四半期(Q3)の実質国内総生産(GDP)成長率は前年同期比5.04%となり、安定した成長を示した。2025年1~9月期のGDP成長率は5.01%で、世界経済の変動が大きい環境下にあっても同国は安定した成長を維持している。
Q3における成長の主な牽引役は輸出と観光業である。商品・サービスの輸出は前年同期比9.9%増となり、仕向け先市場での需要回復と製造業における付加価値向上がその背景となっている。2025年1~9月期の旅行者数では、国内旅行者が前年同期比19.0%、外国人旅行者が同10.2%増加し経済を支えた。しかしながら、GDP構成比で5割強を占める家計消費の成長率は前年同期比4.89%と、第2四半期(Q2)の同4.97%から若干鈍化した。
出所(3グラフとも):インドネシア中央統計局(BPS)
通年の見通しについて、インドネシア政府では5.3%の成長率目標を掲げているが、世界銀行では4.8%、IMFでは4.9%と、より控えめな予測を示している。国内消費が一段と成長しない限り、政府目標の達成は難しいとの見方である。
インドネシア政府では2025年度の景気刺激策の第4弾として、低所得層向けの現金給付プログラムとは別に3,505万世帯向けの現金直接支援や、大学新卒者向けに企業や政府機関での就業経験を提供するインターンシップなどを実施する方針であることが報じられている。現時点でも、インドネシア経済は堅調な成長を続けており、東南アジアで最も活力のある経済国の位置を維持している。