キャピタル アセットマネジメント株式会社

ベトナムのメガインフラプロジェクト

情報提供資料

2026年1月5日

 2025年12月19日(ベトナムの抗戦宣言記念日)、全国34省市で234件のインフラプロジェクトの着工・竣工式が開催された。内訳は着工が148件、竣工・開通が86件であり、総投資額は3,400兆ドン(約1,308億米ドル)に上る。その資金源は国家拠出が96件(627兆ドン/約241億米ドル)、民間拠出が138件(2,790兆ドン/約1,073億米ドル、構成比82%)となっている。

 これらのプロジェクトは病院、学校、大都市圏や工業団地のインフラ、高速道路から戦略的な鉄道プロジェクトなど多岐にわたる。ベトナム政府は、制度・インフラ・人材の3つが、経済発展の戦略的ブレークスルー(突破口)としている。特に、近代的なインフラの構築は、社会経済の発展に特に重要な役割を果たし、持続可能な国家発展の基盤を築くために重要であるとの認識である。これは2045年までに高所得国入りを目指すという建国100周年にあたる年をターゲットに戦略目標を達成し、成長を実現するためである。

 今般開通・一部稼働開始したプロジェクトには、約3,200kmに及ぶ高速道路、ホーチミン市近郊のロンタイン空港への初飛行の受け入れ、主要なエネルギー関連のプロジェクト(500kV第3回路クアンビン・フンイエン送電線、タイビン第2火力発電所、ニョンチャック第3・4LNG発電所、ホアビン水力発電所の拡張)、主要港湾プロジェクト(ラック・フエン港、カイメップ・チーバイ港、ハウ川運河)など、「前例のない大規模な」、「初めての」、かつ「歴史的意義のある」プロジェクトが含まれている。
ベトナムのメガインフラプロジェクト

*為替レート:1米ドル=26,000ドン換算    (出所)政府メディア


 以下、完成した主要なプロジェクトの概要を記す。
① 約3,200kmの高速道路。主要南北高速道路(北部のカオバンから南部のカマウまでの全体)、1,700kmの沿岸道路などを含めて、2021~2025年期に全体で2,025kmの高速道路が完成・開通する予定である。これは過去20年間の高速道路総距離のほぼ2倍に相当する。2025年単年で高速道路1,491km、国道456km、沿岸道路251kmが完成するほか、その他多くの主要交通プロジェクトがスタートした。
ベトナムのメガインフラプロジェクト

(出所)政府メディア

② ハノイのノイバイ国際空港、ホーチミン市のタンソンニャット空港、中部フエ市のフーバイ空港、北部ディエンビエンフー空港などの空港が改修・拡張された。ロンタイン国際空港*の第1期工事が基本的に完了し、初の試験飛行をした。空港全体の年間旅客数は2020年の9,240万人から2025年には1.55億人へと増加している。
*ホーチミン市近隣であるドンナイ省ロンタイン県の5,500ヘクタール超の敷地に建設し、国際民間航空機関(ICAO)の最高水準を満たす旅客ターミナルも含む。総投資予定額は336.6兆ドン(約130億米ドル)で滑走路4本、4つのターミナル、対応可能な年間旅客数1億人(現在のタンソンニャット空港の2.5倍相当)・取扱貨物量500万トンを目指す。
ベトナムのメガインフラプロジェクト

*為替レート:1米ドル=26,000ドン換算   (出所)政府メディア

③ ニョンチャック第3と第4火力発電所が稼働した。ベトナム初のLNG燃料(クリーンエネルギー)による発電所であり、総投資額約14億米ドルで世界最高水準の発電効率(約64%)を誇る。米ゼネラル・エレクトリック(GE)製9HA.02世代ガスタービンを採用し、設計発電容量は1,624MWで東南アジア最大のガス火力発電所となる。今後、ベトナムの戦略的分野とするハイテク、半導体、大規模データセンターなどを支えるため、バランスの取れたエネルギーの確保に貢献することが期待される。同プロジェクトはペトロベトナム傘下のペトロベトナム電力総公社(PVパワー、略称POW)が投資・建設している。
ベトナムのメガインフラプロジェクト

(出所)政府メディア

   
 また、メガプロジェクトも着工した。以下に注目されるプロジェクトを紹介する。
① ハノイを流れるホン川(紅河)景観大通り建設プロジェクト。投資概算額は855兆ドン(約330億米ドル)で、ハノイ市内の19の行政区域を通過する80kmの大通りを含め、推定面積11,000ヘクタールをカバーするプロジェクトで、2030年の完成を目途とし、公園やレクリエーションスペースに約3,300ヘクタール、整地と都市の再開発に2,100ヘクタールを割り当てる。同プロジェクトは4つのフェーズで計画する。河川沿いの都市空間の再開発、交通システムなどのインフラ整備により、首都圏の中心市街地としての持続可能で質の高い近代的な発展を目指している。また、ハノイ市人民委員会の指導の下、官民連携(PPP)方式により、ダイ・クアン・ミングループ、ヴァン・フー不動産、チュオンハイ自動車(略称THACO)グループ、T&Tグループ、ホア・ファットグループによる投資家コンソーシアムが組成される。
ベトナムのメガインフラプロジェクト

紅河景観大通りの予想図    (出所)政府メディア

② オリンピック・スポーツ都市圏建設。ベトナム最大グループであるヴィングループにより投資・開発するオリンピック・スポーツ都市圏は、約9,200ヘクタールの広さを誇り、総投資額は925兆ドン(約356億米ドル)で、11の行政区域(社級)にまたがるベトナム最大の都市圏となる。同プロジェクトの中心となるのは73.3ヘクタールの敷地に建設され、アジア最大級の13.5万人収容ができ、国際サッカー連盟(FIFA)基準のスタジアムとして設計され、自動開閉式屋根を備えるトロンドン・スタジアム(国立競技場)である。ハノイの南玄関口という戦略的な立地にあるオリンピック・スポーツ都市圏は、環状3.5号線と4号線、国道1A号線、ファップヴァン・カウジー高速道路の中心に位置する。ハノイ南部に近代都市空間を創出し、ハイテク化に向けたインフラが強化されるであろう。
ベトナムのメガインフラプロジェクト

オリンピック・スポーツ都市圏の想像図    (出所)政府メディア

③ ザービン国際空港:ハノイ中心部から約40km離れたバクニン省のザービン空港は、総投資額が196.4兆ドン(約76億米ドル)、このうち少なくとも15%が投資家から集めたと推定される。同プロジェクトはフェーズ1=2025~2030年、フェーズ2=2031~2050年の2フェーズに分かれる。第1フェーズでは2025~2027年の間に、2027年のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に必要な施設の建設を完成し、2026~2030年には残りの施設の完成を目指す。第1フェーズで年間旅客数3,000万人と取扱貨物量160万トンに対応できる見通しである。第2フェーズでは年間旅客数5,000万人と取扱貨物量250万トンに拡大する予定である。12月19日にハノイ人民委員会はサングループと連携し、同空港とハノイを結ぶ全長13.6km、総投資額33兆ドン(約13億米ドル)の道路建設プロジェクトに着工した。

他にも、ハノイやホーチミン市内のメトロ線、南部のホンコアイ島やカンザー都市圏など多くの案件が進行中である。2025年だけで、中央・地方政府は総投資額5,140兆ドン(約1,977億米ドル)を超える564件のプロジェクトを始動させた。今後は南北高速鉄道建設などもチン首相の指示で投資形態が選択され、インフラと経済発展に貢献する見通しである。これらはいずれも、政治、経済、安全保障、国防の点から極めて重要なプロジェクト群と位置づけられ、ベトナムは近代的なインフラを構築し、発展が期待される。
   

以上

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