キャピタル アセットマネジメント株式会社

ベトナム自動車市場の進展

情報提供資料

2026年3月17日

 2025年のベトナム自動車市場は、顕著な成長を示すとともに、新エネルギー車(NEV)へのシフトが見受けられた。ベトナム自動車工業会(VAMA)およびVAMA集計対象外のビンファスト、現代の合算データによると、2025年通年の国内自動車総販売台数は前年比22%増の60.4万台に達した。これは、過去最高であった2022年の販売実績(508,547台)を上回った。
ベトナム自動車市場の進展

ベトナム自動車市場の進展

ベトナム自動車市場の進展

 各メーカーの中で、ビンファストが市場全体の成長をけん引した。同社の販売台数は前年比約2倍の17万5,099台を記録。2025年の市場シェアでは、ビンファストが初めてThaco(起亜、マツダ、プジョー、BMW、MINIの5ブランドを展開)を抜き、ベトナム自動車市場で首位に立った。

 ビンファストが達成した17.5万台は、ベトナムの自動車産業約30年の歴史において、単一メーカーとして過去最高の水準である。なお、同社が販売した車両はすべてバッテリー式電気自動車(BEV)である。

(グラフの出所)ベトナム自動車工業会・各企業のホームページ・主要オンラインメディアの情報を基に CPVN が作成

 この動向は、単なる一企業の成果にとどまらず、市場全体における急速なグリーンシフト(環境対応への移行)を反映したものといえる。その結果、2025年のベトナムにおける電動化車両(含むBEVおよびハイブリッド車等)のシェアは自動車全販売台数の約40%を占めるまでに拡大した。
 ベトナムにおけるグリーン交通(環境配慮型交通)発展の背景には、ビングループによる取り組みがある。同グループは、ビンファストブランドの電動バイクや電気自動車(EV)の製造のみならず、電気バス「VinBus」やEVタクシー「XanhSM」のネットワークの運営もしており、全国規模で交通の電動化を推進している。また、ビンファストによると、同社の充電インフラは現在、国内の全省・市を網羅しており、ユーザーがEVを選択しやすい環境が整備されている。
ベトナム自動車市場の進展

(出所)ビンファストのウェブサイト

 現在の支援政策が継続された場合、2023年から2030年にかけてベトナムのEV市場は年率40%を超える成長を遂げると予測されている。その実現に向けた鍵として、以下の3点が挙げられる。
 • 充電インフラ:ショッピングモール、駐車場、交通結節点など、主要拠点における公共充電ネットワークの整備・拡充。
 • 税制優遇:生産コストおよび車両価格の抑制を目的とした、部品輸入関税、登録税、特別消費税の免除や減税措置。
 • 投資奨励:EVの研究開発に対する補助金や税制優遇を通じた、企業のイノベーション促進。

 ベトナム現地でのメディア報道によると、PwCマレーシアのASEAN自動車部門センター長であるパトリック・ツィーヒマン氏は、次のように指摘している。

 「ベトナムのEV市場は速いペースで拡大している。ASEAN域内でも高い成長を示している市場は多くなく、強力な国内メーカーがその成長を牽引している。一方で、ベトナムは重要な転換点にも差し掛かっている。消費者の関心は非常に高いものの、成長のモメンタムを維持するためには、充電インフラや所有体験(オーナーシップ・エクスペリエンス)の改善が不可欠である。次の成長フェーズは、『野心的な目標』と『実際の準備状況』とのギャップを、関係者がいかに迅速に埋められるかにかかっている。」
 注:本レポートの販売台数には、輸出分(特にビンファスト)、流通在庫、登録手続き前の台数が含まれており、国際自動車工業連合会(OICA)統計の新車登録台数(2024年33.8万台、2025年データは未公表)より大きい値となっている。メーカー別の登録台数データが未公表であるため、輸出を含む自動車市場全体を反映すべく販売台数ベースのデータを採用した。ベトナム国内の新車普及状況を把握するうえで、OICAの新車登録台数がより実態に近い点にご留意願います。

以上

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