キャピタル アセットマネジメント株式会社

ベトナム コロナから新常態・経済回復へ

情報提供資料

2022年4月1日

■新型コロナウイルス感染とワクチン接種状況:新規感染者がピークを迎えたようである

ベトナム コロナから新常態・経済回復へ

出所:ベトナム保健省

ベトナムにおいて2月初旬の旧正月連休後、感染力が強くなったオミクロン株の感染拡大により新型コロナウイルス感染者が急増した。
一日平均感染者数は1月の約1万人から3月中旬には約16-17万人へと増加した。
ただし、3月18日以降は感染者数が大きく減少している。3月中旬にピークを迎え、低下しはじめたようである。
新規感染者数が特に急増していたものの、当初からの政府によるワクチン接種の加速化方針や重症化リスクが低いオミクロン株等により、死亡者数は21年8-9月の感染拡大第4波のピーク時の4分の1程度まで減少している。

また、一日平均完治者数も21年8-9月の感染拡大第4波のピーク時の10倍程度に増えている。
3月20日現在、ベトナム累計感染者数は795.8万人となり、そのうちの完治者数は410万人となった。現時点で一日当たりの平均完治者数は約10-11万人である。
ベトナムの新型コロナウイルスワクチンの接種率は世界で上位を誇る水準となり、政府の努力や国際支援等の成功事例になっている。
3月20日時点現在、ベトナムにおいては合計2億157万回のワクチンを接種し、少なくとも1回のワクチンを受けた国民は総人口の81%以上で世界のトップ10位に入っている。

■新常態へ

ワクチン接種の加速化とともに、政府は当初の「ゼロコロナ」から昨年10月には「柔軟的且つ安全的に適応し、新常態へ移行」や「新型コロナウイルスとの共存・共生」へと政策を転換した。

ベトナム コロナから新常態・経済回復へ

出所:ourworldindata.org

国内観光や外国人観光客の段階的な受け入れをはじめ、生活活動と経済活動を正常化していく方針である。現在、ベトナム国内では経済活動がほぼ通常通り行われている。
なお、積極的なワクチン接種も維持されている。3月1日、政府は米国の製薬会社ファイザーのコミナティ2200万回接種分を購入し5-11歳に接種することを承認した。

出所:政府電子新聞

国内移動と観光は21年末から通常に戻ってきた。市・省間の移動は制限無しで飛行機等の移動でも検査が不要となった。さらに、先週3月15日から海外からの旅行者の受け入れを全国的に解禁し、海外への観光も奨励している。外国人観光客を受け入れるために、13か国の国民へのビザ免除の再開や17か国とのワクチンパスポートの相互認証、入国時の規則も新常態に合わせて簡素化する等、一連の施策を展開している。
さらに、企業・労働者と調整のうえ、労働者の安全を確保できることを条件に、症状無しや軽症の感染者が出社して生産活動に通常参加することも検討している。


写真提供:CPVN 

■過去最大規模の景気刺激策

前述のワクチンの手配・接種の加速化や新常態への移行等は、ベトナム政府が生産活動を活発化し経済を回復・発展させる決意を示している。22年1月の臨時国会にて、350兆ドン(約152億ドル=約1.8兆円)規模の経済対策が承認された。これは過去最大規模の景気刺激策だと評価されている。

出所:ベトナム政府、CPVN編集

これらの図表を見ると、ベトナム政府は ①新型コロナウイルス予防・治療対策ための医療システム支援、②市民・労働者の生活確保や社会保障・雇用の支援、③企業開発支援、④インフラ投資に焦点を当てていることが分かる。
そのうち、インフラ投資額はもっとも大きい割合(全体の32%)を占めている。公共投資の支出を強化し、その効果を徐々に波及させ、経済の回復・発展を促進する目論見である。

主要な公共投資プロジェクトとしては ①交通インフラ(12の小さなプロジェクトを含む合計距離729㎞、予想投資総額147兆ドン(約64億ドル=762兆円)となる南北高速道路第2フェーズをはじめ6つのプロジェクト)、②農業部門(川岸や海岸侵食の克服や自然災害防止プロジェクト等)、③地方医療インフラシステム、④デジタル変革と社会保障等が挙げられる。

ベトナムはコロナ後を見据えて、経済活動の全面再開に取り組むだろう。上述の対策と政府の決意が国民と企業の支援・努力と併せて、ベトナム経済は強く回復・発展すると当社では期待している。

以上


免責事項

当資料は、情報提供を目的として、キャピタル アセットマネジメント株式会社(CAM)が作成したもので、投資信託や個別銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。また、CAMが運営する投資信託に当銘柄を組み入れることを示唆・保証するものではありません。当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。