ベトナム統計総局(GSO)が発表した2023年第1四半期(1-3月期)の実質GDP成長率は前年同期比+3.32%と、2013~2023年の第1 四半期のうちで2番目に低い水準となった。今回の低成長の主要因としては、①海外でのインフレや高金利に伴う需要鈍化により、外需関連産業が不調に見舞われたこと、②国内において、鉄鋼業などがコスト高や受注減に伴う影響を被ったこと、③不動産業界が債務面に端を発する苦境に直面したこと、などが挙げられる。宿泊施設・飲食サービスや輸送、卸売・小売りなどの内需の伸びは支えになっていた。
ベトナム政策金利の推移*
出所:ベトナム統計総局
*)23年3月29日に発表された調整された数字。2020年第1四半期から2021年第3四半期はコロナ禍により成長率が低かった。
セクター別に成長率(前年同期比)をみると、農林水産業は2.52%、サービス産業は6.79%と伸びたものの、建設・鉱工業はマイナス(-0.40%)となった。農林水産業では、農業が2.43%、林業が3.36%、水産業が2.68%伸びた。建設・鉱工業では建設が1.95%伸びた一方、鉱工業がマイナス(-0.82%)であった。サービス産業では、観光再開により宿泊施設・飲食サービスが25.98%と急伸した。輸送・倉庫は6.85%、卸売・小売りが8.09%と引き続き堅調であった。
第1四半期の実績をみると、通年目標である成長率6.5%はチャレンジングなものとなり、その達成のためにはベトナム政府や企業による一層の努力が求められよう。最近、ベトナム国家銀行(中央銀行)は政策金利を引き下げ、各市・省と関係当局は公共投資支出を促進、外国人旅行客を誘致するためのマーケティング促進や内需の刺激等も積極的に展開している。ベトナム経済は困難を乗り越えると期待される。