フィリピン中央銀行(BSP)によると、2024年12月のフィリピン人海外出稼ぎ労働者(OFW)を含む在外フィリピン人からの送金額(銀行経由)は、前年同月比+3.0%の約34億米ドルであった。前年同月比で推移を捉えると2021年2月以来プラスの状況が続いている。そして、2024年通年の送金額は、前年比+3.0%の約345億米ドルであった。2024年送金額の国・地域別では相変わらず米国からの送金が最も多く、前年比+2.2%、全体の40.6%を占める約140億米ドルとなった。2位はシンガポールで同+5.0%の約25億米ドル、3位はサウジアラビアで同+7.7%の約22億米ドル、4位は日本(同+1.3%の約17億米ドル)であった。在外フィリピン人からの送金は依然として重要な外貨流入源であり、国内総生産(GDP)の約8.3%、国民総所得(GNI)の約7.4%を占めている。12月の送金に家族間の贈与などを含めた個人間移転は前月比+19.6%、前年同月比+3.0%の約37億米ドルであった。2024年通年の個人間移転は前年比+3.0%の約383億米ドルであり、過去最高を更新した。
フィリピン開発研究所(PIDS)の上級研究員であるジョン・パオロ・R・リベラ氏は、「米国、中東、アジア太平洋地域の持続的な経済回復により、OFWの賃金と雇用機会が増加し、送金が増えた。また、年末の数か月間におけるペソ安も、送金の価値を押し上げる要因となった」と述べた。
リサール・コマーシャル・バンキング・コーポレーションの首席エコノミスト、マイケル・リカフォート氏による解説は次の通りであった。「送金の急増はホリデーシーズンに伴う季節的要因によるものでもある。トランプ大統領の貿易政策に起因する世界的な不確実性、世界経済全体を鈍化させる可能性が2025年の送金の伸びを鈍らせる可能性はあるものの、大きな経済的混乱がない限り、緩やかな成長を維持すると予想される。」
BSPでは、2025年に送金額が3%増加することを予測している。