2月19日、ベトナム国会は2025年の実質国内総生産(GDP)成長率目標を8%以上に引き上げることを掲げた社会経済発展計画に関する決議を承認した。従来目標は6.5~7%であった。消費者物価指数(CPI)の平均上昇率を約4.5~5%、一人当たりGDPは5,000米ドル以上の達成を具体的目標として盛り込んだ。2021~2030年の10か年戦略を成功に導くための基盤を構築し、同国が新たな発展の時代に入るタイミングを示したものであり、経済と社会の調和をとりながら2026年以降のさらなる成長を目指す。
さらに、政府は以下のように、成長の原動力となる2025年の目標と措置を打ち出している。
(1) 社会投資総額をGDPの約33.5%に相当する1,740億米ドル以上とし、そのうち公共投資は約360億米ドル、民間投資約960億米ドル、海外からの直接投資(FDI)約280億米ドル。
(2) 公共投資の全国支出率が計画の95%に達するよう努め、高速道路など重要なプロジェクトを加速する。
(3) 国内消費を刺激し、2025年の小売り・サービス売上高の伸びについて12%以上を目指す。
(4) 輸出入総額を前年比12%増加させ、貿易黒字を約300億米ドルに達することを目標とする。
(5) ベトナム国家銀行(中央銀行)は銀行業界全体の与信伸び率の目標を16%に設定。
(6) 行政手続きと事業環境を改善し、あらゆる経済セクターからの戦略的投資を惹きつける。
(7) 技術開発、イノベーション、国家のデジタル変革の進歩が必要であることを強調したうえで、研究開発への投資を増やし、人工知能(AI)、データセンター、新エネルギーなどの新興産業や分野を促進する。
今回の臨時国会では政府組織再編を定めた改正政府組織法も決議された。各機関トップの任務・権限・責任の明確化と行政機能の効率化(重複や公務員の削減を含む)により、高い経済成長の維持を狙う。
公共投資を推進するため、国家予算の赤字をGDPの約4~4.5%に調節することも今回の臨時国会で承認された。