キャピタル アセットマネジメント株式会社

ベトナムと米国の貿易・投資協力の強化

情報提供資料

2025年3月20日

米国はベトナムにとって外交上で最上位の包括的戦略パートナーシップを結ぶ関係にあり、長年にわたり中国に次ぐ第2位の貿易相手国でもある。3月13日、グエン・ホン・ジエン首相特使兼商工相は米国通商代表部(USTR)のグリア通商代表と会談した。2期目のトランプ大統領就任後、初めての閣僚級会談となった。同日にはベトナム企業と米国パートナー間で総額41.5億米ドル相当の合意文書が交わされた。内容としては、米国からの長期での液化天然ガス(LNG)調達、ガス火力発電所設備機器とサービスの調達、エタノールの調達、バイオ燃料の輸入促進などである(次頁の表参照)。
同日結ばれた覚書・協定以外でも、2025年にはベトジェット航空のタオ会長を含む幹部らがトランプ氏の就任前に私邸(マールアラーゴ)を訪問したうえで米国企業との交渉を進めている。2025年から締結され実施される契約・協定を集計すると501.5億米ドル相当となり、航空機の購入、航空サービス、LNGやその他燃料輸入が主なものである。2月には米スペースXによる事業展開を念頭に、ベトナム国内での100%外資によるインターネット事業実施を認める制度がベトナム国会で承認されている。トランプ新政権による関税施策の発動を回避すべく、米国側が望む分野を中心に互恵的な関係を進めようとベトナムは尽力している。
トランプ大統領の第1期(2017年1月~2021年1月)に、政府と企業の取り組みにより、対米国でのベトナムの輸出入は伸長した。

 

 出所:ベトナム税関総局、統計総局

 

2024年、ベトナムから米国への輸出額は前年比23.2%増の1,195億米ドルであり、米国からの輸入額は同9.3%増の151億米ドルであった。
2025年にトランプ氏が2期目の大統領に就任してから、世界のサプライチェーンに変化をもたらす数々の大統領令に署名している。ベトナムのような開放経済の国にとって、課題であると同時に機会でもある。ベトナムはこの機会を捉えるため、様々な取り組みを進めている。

 1) 2025 年初より、ベトナム政府は行政機構の見直し・再編を行った。手続き処理時間の3 割以上の短縮化を目指し、重複機能の解消などの業務効率化とコスト削減に取り組んでいる。
 2) 1月17日、ベトナムのパンガシウス(白身魚)輸出に対する反ダンピング関税をめぐる世界貿易機関(WTO)紛争を終結させるため、ベトナム商工省とUSTR はワシントンにて二国間合意に署名した。
 3) 2月19日、ベトナム国会で承認されたデジタル変革を促進するための特別制度を試験的に導入する決議に基づき、米スペースX による人工衛星を活用したインターネット事業が迅速に認可される見通しである。
 4) 3月1日、ベトナムのチン首相は米国企業38 社と協議し、ベトナムへの研究、投資、および事業面での協力の機会を提案した。
 5) 3月10日、チン首相は米国を念頭に、包括的戦略パートナーシップを結んでいる相手国の主要製品分類に適用される税率の見直し・改正を財務省に要請する指令06を発行した。
 6) 3月13日、ジエン商工相の米国訪問中に下表の通り、合意文書が締結された。


 出所:︓ベトナム政府メディア、各種報道を基にCPVN が編集

2025 年は国交樹立30 周年を迎える両国関係においても重要な意味を持つ。駐ベトナムのナッパー米国大使は米国大使館がベトナム政府機関と協力してパートナーシップを深化させるよう努力すると述べている。

以上


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