5月5日、韓国取引所(KRX)設計による新たな証券取引システム(KRXシステム)が正式に稼働開始した。現地証券会社からの情報によれば、表示エラーや取引遅延などの小さな不具合が稼働当初にはあったが速やかに対処され、システム移行は全体的にスムーズであった。ベトナム株式市場にとって注目すべきことで、株式市場の流動性と透明性を向上させ、将来的に新たな取引ツールの展開、デリバティブ商品の導入に向けた基礎となることが期待されている。そして、このシステム移行は、FTSE指数(ロンドン証券取引所グループのFTSE Russellが提供する指数)とMSCI指数(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナルが提供する指数)の市場分類で、「フロンティア市場」から「新興国市場」への格上げに向けた取り組みの一環と捉えることができる。
ベトナム国家証券委員会(SSC)では、証券市場の格上げに向けて、以下の作業計画を策定している。
出所:ベトナム国家証券委員会資料からの情報に基づき当社が作成
この作業計画から、ベトナムの株式市場を格上げさせるためのベトナム政府と関係当局の意向がうかがえる。次に、2025年8月までに総合取引口座を導入する目標が掲げられている。現状ではファンド口座ごとに個別に売買注文を実行する必要があるが、総合取引口座では運用会社が管理するすべてのファンドの証券を同時に売買できることになる。総合取引口座の導入により、海外の機関投資家やファンド運用会社は、ファンドの発注を簡素化できるほか、各ファンドの注文を同一価格でマッチングさせることができるようになる見込みである。SSCの初期指針について議論を深め、2026年内にベトナム証券保管機構の子会社を設立、銀行を清算会員として認めたうえで中央清算機関(CCP)を展開することが計画されている。
KRXシステムにおける注目点の1つは、不成立取引の場合における外国人投資家の持株制限(FOL)に関してT+3まで外国人枠が顧客口座に保持されるスキームである。そしてCCPの導入は、オプション取引や当日決済取引を進めるための基盤になると期待されている。