ベトナム国家統計局(NSO)によれば、2025年第2四半期(Q2)の実質国内総生産(GDP)成長率は前年同期比7.96%のプラス成長となった。工業・建設業に含まれる加工製造業の同10.75%成長がけん引力になった。2025年上半期のGDP成長率は、同7.52%であり、2011年以降の上半期としては最高の伸びを示した。上半期の商品の輸出は同14.4%増の2,198.3億米ドル、そのうち709.1億米ドルが米国向けであった。米国の上乗せ関税が停止されていた期間中の駆け込み的な動きはあった模様である。サービス業の高成長の背景として観光産業の寄与が挙げられる。上半期にベトナムを訪れた外国人旅行者数は前年同期比20.7%増の約1,070万人となり、上半期で初めて1,000万人を超えた。
出所:ベトナム国家統計局(NSO)
米トランプ大統領によれば、7月2日のトー・ラム共産党書記長との電話会談の結果、ベトナム産品の関税率につき原則20%、迂回輸出品については40%を米国が課すことと、ベトナムが輸入する米国産品の関税率が0%になることが合意された。両国は合意内容を具体的に実行に移していくための交渉に入った。
NSOでは、相互関税の税率が平均20%の場合、対米輸出額が9~10%減少、ベトナムのGDP成長率が0.7~0.8ポイント減速すると予測している。不確実要素が減少したうえに、マイナスの影響は限定的とみられ、ベトナムの中長期的な成長性に引き続き注目したいと当社では考えている。