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ベトナム大規模の地方再編、7月1日より63省市から34省市へ

情報提供資料

2025年7月14日

 ベトナム共産党の中央委員会は4月12日、57省(日本の都道府県に相当)と6つの中央直轄市からなる63省市を34省市(28の省と6つの中央直轄市)に再編する計画案を承認し、決議第76/2025/UBTVQH15号を公布した。6月12日には第15期国会第9回会議において、「2025年における省級行政単位の再編に関する決議」が可決された。この決議に基づき、ベトナムの34省市体制が2025年7月1日から正式にスタートした。北部の首都ハノイ市を含めて11省市は合併対象外であったが、南部の商都ホーチミン市を含む52省市を23省市に再編した。また、これまで省市、区県、社という3つの級(階層)からなる行政管理の構造から第二級レベルの区県を廃止し、第三級レベルの行政単位の社(坊・社・町)を6~7割削減した。今後、全国の行政管理の構造は省級(省、中央直轄市)と社級という2つの階層による体制となり、ベトナムは合理化・近代化された地方自治モデルの構築に向けて進んでいく。
 この再編の目的は、細分化されていたリソースの見直しを含む効率性の向上、コスト削減、持続可能でバランスのとれた発展に向けた地域開発資源の効果的な再配分と活用などである。ベトナムは国家機構の改革戦略において、合理化、有効化、効率化へと大きく転換したといえる。この転換は単なる行政境界の調整にとどまらず、統治機構に変化をもたらし、ひいては公共投資や公共サービス(ITの活用を含む)を向上させることを目指している。具体的には重点投資を通じて、交通などのインフラ整備、医療、教育などを向上させ、国民満足度の向上と経済発展へとつなげていくものである。
ベトナム大規模の地方再編、7月1日より63省市から34省市へ
 本来の省の基準は、①山岳地帯や高原地帯では面積8,000平方キロメートル以上、かつ人口90万人以上、②それ以外の地域では面積5,000平方キロメートル以上、かつ人口140万人以上、中央直轄市の基準は面積1,500平方キロメートル以上、人口100万人以上などと定められていた。今回、基準を満たしていなかった省市が合併対象になった。
 6月30日にホーチミン市で開催された発表式典にて、トー・ラム書記長は「この出来事はダイナミックな開発区を構築する道のりにおいて必要なものであり、2045年までに先進国入りを目指すベトナムの大志に相応しいものである。私たちは、誇りとともに、国と未来の世代に対する大きな責任を負いながら、新たな発展の段階に踏み出した。」「国家の組織再編は、国家行政機構や政治システムの整備、合理化、有効化、効率化、現代的で建設的、人民に優しく奉仕する行政システムの整備に向けた新たな発展段階を示す戦略的意義を持つ歴史的一歩である。」「行政境界の再編と新たな地方自治モデルの運用は、グローバル化、デジタルトランスフォーメーション、そして第四次産業革命の文脈において、国家の発展にとって避けられないことである。リーダーの思考や国家管理方法を革新し、科学技術を積極的に活用し、国家統治の質を向上させ、人民への奉仕の有効性を高める貴重な機会である。」などと呼びかけた。
 新しい行政制度への移行に伴い行政手続きが一時的に停滞するなど、国民生活や企業活動の双方に影響が生じている模様だが、適時に解決すると政府は説明している。以下、34省市番号付き地図と関連情報一覧を掲げる。
ベトナム大規模の地方再編、7月1日より63省市から34省市へ

出所:マイソン電子新聞、CPVN編集

ベトナム大規模の地方再編、7月1日より63省市から34省市へ

*省市ごとのデータに関して、同一人が複数の省市に同時計上されている可能性が考えられる(引っ越し前後などの理由で)。
 GRDP(域内総生産)は国内総生産の地域版を意味している。

出所:政府メディア情報などに基づきCPVN編集

以上

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